テスト前で、部活があって、帰ったら課題があって、スマホを見ていたら日付が変わっている。
朝、起きられない。授業中、まぶたが落ちてくる。なんとなくだるくて、集中が続かない。
そういうとき、かけられる言葉はだいたい決まっています。
「頑張れ」「気合いが足りない」「たるんでる」
でも、はっきり書いておきます。
気合いは、体の後から来ます。順番が逆だと、気合いも体も、どっちも折れます。だからこの記事は、頑張り方の話をしません。頑張る前に整える「体の土台」の話だけをします。
体の土台は、昔から3本柱で語られます。睡眠・食事・運動。
第1講ではこの3本を並べて紹介しました。でも続編のこの記事では、一歩踏み込んで、はっきり順位をつけます。
睡眠が先です。
理由は単純で、睡眠だけは“全部の下”にあるからです。
食事と運動は大事な柱です。でも、柱は土台の上にしか立ちません。土台の下に柱を足すことは、できないのです。
ちなみに、国のガイドラインでは、中学生・高校生の睡眠は8〜10時間が推奨されています(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」)。
「そんなに寝られるわけがない」と思ったと思います。わたしもそう思います。だからこの記事は「8時間寝なさい」とは言いません。現実の中で、どこから土台を直すかの話をします。
睡眠を直そうとすると、みんな「早く寝よう」から始めます。そして失敗します。夜は、課題もスマホも誘惑も全部そろっている時間帯だからです。
先にそろえるのは、起きる時間です。
寝る時間を意志で守るのは難しい。でも起きる時間は、目覚ましと家族の協力で仕組みにできます。意志より仕組み。ここでも順番です。
そして夜のスマホは、「やめる」ではなく置き場所を変える実験をおすすめします。
やめるより、置き換える。禁止は続きませんが、置き換えは続きます。
小さな話をもう1つ。夜中にトイレへ行くとき、トイレの電気はつけないでください。強い光を浴びると、目がしっかり覚めてしまって、もう一度眠りに戻りにくくなります。廊下の常夜灯や足元の明かりだけで足りるようにしておくと、夜の眠りを取りこぼさずにすみます。
昼間、授業中にどうしようもなく眠い日が続くなら、それは「だらしなさ」ではなく睡眠が足りていないサインです。夜更かしの自覚がないのに眠気が続く場合は、保健室の先生やかかりつけのお医者さんに相談してください。
10代の食事で、いちばん土台を削るのは「抜くこと」です。
朝ごはんを抜くと、午前中のエネルギーが足りないまま、いちばん頭を使う時間帯に突入します。難しいことは要りません。
そして、食べる前の小さな習慣をひとつ。朝起きたら、なるべく早く、うがいをしてから水を1杯。寝ている間、口の中は乾いて汚れがたまりやすい場所です。先にうがいで流してから水を飲む。体が目覚めるスイッチにもなるので、朝ごはんの前の“0品目”だと思ってください。
もう1つ、大事な注意を書いておきます。
極端に減らすダイエットは、体の土台ごと削ります。体型の悩みは、10代にとって軽い話ではないことを知っています。だからこそ、食事を大きく減らす前に、信頼できる大人か、学校の先生・保健室・お医者さんに一度話してほしいのです。食べられない日が続いているなら、それは意志の問題ではなく、助けを求めていいサインです。
運動と聞くと、部活やトレーニングを思い浮かべると思います。でも土台として必要なのは、もっと手前の話です。
部活をしている人は、逆に休む勇気が土台になります。痛みをかばいながら続けるのは、根性ではなく故障の入り口です。痛みが続くときは、指導者と家族に伝えて、必要なら受診してください。
土台が整っているかは、体が教えてくれます。ただし、聞く仕組みがないと聞こえません。
おすすめは、寝る前の10秒記録です。ノートでもスマホのメモでもいいので、4つだけ。
点数も文章も要りません。3週間つけると、自分のパターンが見えてきます。「寝るのが遅い週は、気分が雨になる」・・・それが見えた瞬間、体調は“甘え”ではなくデータになります。データになれば、責めずに直せます。
この記事の道具です。3本柱を10点ずつ、合計30点で採点します。チェックを入れると、下の合計が自動で変わります。
使い方はひとつだけ。点数の低い柱を責めるのではなく、いちばん低い柱の「最初の一歩」を1つ選ぶ。それだけです。
点数表は成績表ではありません。今日の自分の天気図です。雨の日に傘をさすように、低い柱に一歩を足すだけでいいのです。
最後に、この記事でいちばん伝えたいことを書きます。
習慣は、長く続けば続くほど、変えることが難しくなります。これは良い習慣でも、悪い習慣でも同じです。夜ふかしが10年続いた体を直すのと、始まって3か月の夜ふかしを直すのとでは、労力がまるで違います。習慣の力は、よくも悪くも、それくらい大きいのです。
だからこそ、10代のうちに正しい生活の習慣を身につけられた人は、将来に向けて最高の土台を築くことになります。それは、未来の自分に贈れる最高のご褒美です。20代・30代・40代の自分が、毎朝その恩恵を受け取り続けます。
そして、もうひとつ。
何度挫折しても、大丈夫です。習慣づくりに失敗はつきものです。三日坊主で終わった回数は、数えなくていい。数えるのは、戻ってきた回数だけでいいのです。習慣が身につくまで、あきらめずに、何度でも戻ってきてください。この記事は、いつでもここで待っています。
「体調管理も実力のうち」という言葉があります。半分は本当ですが、半分は残酷です。管理できない日は、誰にでもあるからです。
だから、こう言い換えたいのです。
眠る、食べる、動く。地味で、誰にも褒められない3本です。でもこの土台の上に、勉強も、部活も、友達関係も、そして心の回復力も乗っています。
今日の点数がいくつでも、大丈夫です。人生は、たとえ遠回りしても、いつでも今からリニューアルできます。
点数表で採点して、いちばん低かった柱の一歩を1つだけ決めてください。迷ったら、これで大丈夫です。
この記事は、第1講の第2章をほどいたものです。体だけでなく、心・学び・判断力の土台まで通しで読むなら、本編へどうぞ。
そばにいる大人の側の話は、こちらにまとめました。「甘えるな」の言い換えも入っています。
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年2月公表。中学・高校生の推奨睡眠時間8〜10時間)