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壊れないための守り方|別冊・保存版

「気にしすぎ」と言いそうになったら

声かけNG/OK辞典50・・・評価をやめて、次の一手を一緒に決める

対象は、女子高生をはじめ10代と関わる保護者・先生・部活の指導者・親戚のみなさんです。当事者のあなたが読んでも大丈夫なように書いています。「大人にこう言ってほしかった」の確認用にどうぞ。


「気にしすぎだよ」

言った瞬間、相手の表情が少しだけ固くなって、会話がそこで終わる。
夜になってから、あれは違ったなと気づく。でも、何と言えばよかったのかは分からないまま。次も同じ場面が来て、また同じ一言が出る。

この記事は、その「何と言えばよかったのか」だけを50個、辞典の形で並べたものです。

先にいちばん大事なことを言わせてください。

「気にしすぎ」と言ってしまうあなたが、悪いのではありません。

とっさの一言は、性格でも愛情不足でもなく、ただの“反射”です。心配だから、早く楽にしてあげたいから、つい結論を先に渡してしまう。反射は責めても直りません。でも、設計で変わります。代わりの一手を先に持っておけば、とっさの場面でそちらが出るようになります。

つまりこの辞典は、あなたの人格を直すものではなく、引き出しに“予備の一言”を足しておくための道具です。

目次: NGとOKを分けるもの1 不安・落ち込み2 進路・勉強3 友人関係4 SNS・比較5 体調・心の不調種明かしA3マップ配布

NGとOKを分けるものは、たった一点

50個ぜんぶに共通する法則を、先に種明かしします。

言い方の才能の話ではありません。
評価をやめて、次の一手に変える。
差はこの一点だけです。

使い方は3つだけ

  1. 50個は覚えなくていい。自分がよく言ってしまうNGを1つだけ探してください
  2. 今週は、その1個だけOK版に言い換えてみてください
  3. 言ってしまっても、やり直せます。「ごめん、今の言い方は違った。聞き直していい?」・・・会話には、やり直しボタンがあります

1)不安・落ち込みへの声かけへの声かけ(10)

理由のはっきりしない不安ほど、周りは軽く扱いがちです。でも本人にとっては、正体が分からないからこそ重い。ここでの仕事は、励ますことではなく“一緒に正体を探す”ことです。

NG「気にしすぎ」
OK「どの部分が、一番引っかかってる?」焦点をしぼる
NG「大丈夫でしょ」
OK「大丈夫じゃないとき、何が一番つらい?」実態を知る
NG「考えすぎ」
OK「頭の中が忙しい感じ? 一緒に整理する?」分解する
NG「もっと前向きに」
OK「今は前向きになれないよね。今日だけ荷物を軽くしようか」負荷を調整する
NG「そんなの誰でもある」
OK「あなたの場合は、何が特にしんどい?」個別の話として聞く
NG「我慢しなよ」
OK「ここまで我慢してきたんだね。今は何を減らせるかな」回復へ切り替える
NG「弱いなあ」
OK「弱さじゃなくて、疲れのサインかもしれないよ」評価から降ろす
NG「もう忘れな」
OK「忘れるのは難しいよね。どうしたら少し楽になるかな」現実的に扱う
NG「どうせ大したことない」
OK「本人にとって大事なら、それは大事なことだよ」尊重する
NG「泣くな」
OK「泣けるなら、ここは安全ってことだよ。落ち着いたら話そう」安心を渡す

2)進路・勉強への声かけへの声かけ(10)

進路の悩みは、高校生の悩みのど真ん中です。ある調査では、この1年で最も多かった悩みの1位が「進路・受験のこと」(30.8%)でした(ベネッセ「高校生の意識・まなび調査2025」)。ここで大人が急かすと、本人は“考える”のをやめて“逃げる”に切り替わります。急かす代わりに、考えるための道具を渡します。

NG「早く決めなさい」
OK「決めるために、条件を3つ出してみようか」手順に変える
NG「もっと勉強しろ」
OK「どこで詰まってる? 量の問題か、やり方の問題か、一緒に見ようか」診断する
NG「努力が足りない」
OK「努力の“方向”が合ってるか、先に確認しよう」直せる形にする
NG「偏差値がすべて」
OK「偏差値以外の相性・・・校風、通学、学び方も大事だよ」ものさしを増やす
NG「なんでできないの」
OK「どのタイプのミス? 知識・手順・うっかり・時間切れ?」分類する
NG「みんなやってる」
OK「あなたのペースで続く形にしよう」継続を優先する
NG「志望校を下げなさい」
OK「現実の案も持ちながら、今週の伸びしろも作ろう」二段構えにする
NG「推薦のほうが楽だよ」
OK「短期決戦と長距離走、あなたはどっちが向いてると思う?」適性から選ぶ
NG「やりたいことないの?」
OK「“苦じゃないこと”から探してみようか」入口を変える
NG「失敗したら終わりだよ」
OK「失敗しても修正はできる。次の一手を一緒に持っておこう」立て直す前提にする

3)友人関係への声かけへの声かけ(10)

友人関係の相談に「そんな友達やめな」と即答したくなったら、少し待ってください。本人は明日も同じ教室に行きます。正しさより、**明日から使える距離の取り方**が必要です。

NG「そんな友達やめな」
OK「距離の取り方を、一緒に考えようか」現実的に運用する
NG「嫌われてもいいでしょ」
OK「嫌われるのは怖いよね。小さく線を引くところから始める?」段階を踏む
NG「気に入られる努力をしな」
OK「無理して合わせてない? 居場所はほかにも作れるよ」逃げ道を増やす
NG「なんで言い返さないの」
OK「安全がいちばん。今は守る動きでいいよ」安全を優先する
NG「友達なんだから我慢しな」
OK「我慢し続ける関係は疲れるよ。調整のしかたはあるからね」続けられる形にする
NG「それはあなたが悪い」
OK「何が起きたか、事実から一緒に並べてみよう」事実と評価を分ける
NG「グループに入りなさい」
OK「一人の時間も味方だよ。居場所は一つじゃなくていい」価値観を広げる
NG「陰口なんて無視しな」
OK「無視も一つの手。必要なら、記録と相談の道も用意しておこう」実務で守る
NG「仲良くしなさい」
OK「安全に過ごせる距離感を、自分で決めていいんだよ」距離を認める
NG「誰とでもやっていけないと」
OK「合う合わないはあって当たり前。合う場所を増やそう」多様さを認める

4)SNS・比較への声かけへの声かけ(10)

「SNSやめなさい」は、大人が思うより効きません。本人の連絡網も居場所も、その中にあるからです。禁止ではなく、**使い方の設計**に付き合うのが現実的です。

NG「SNSやめな」
OK「見る時間帯だけ決めようか。寝る前はやめておくとか」運用に変える
NG「比べるな」
OK「比べちゃうよね。比べたあとに“戻る場所”を作っておこう」回復の道を作る
NG「いいねなんて気にするな」
OK「反応が刺さる日もあるよね。今日は距離を取ろう」その日の状態で対応する
NG「ミュートは失礼だよ」
OK「ミュートは自分を守る設定だよ。関係を壊さない工夫でもある」安全策と伝える
NG「投稿しなきゃいいのに」
OK「投稿する・しないは、自分の基準で決めていい」主体性を返す
NG「炎上なんて他人事」
OK「怖いと思うのは自然だよ。困ったときの相談ルートも決めておこう」備えを作る
NG「変なDMは無視でOK」
OK「無視して、ブロックして、相談する。順番を決めておこう」手順にする
NG「SNSが悪い」
OK「SNSは道具だからね。使い方のルールを一緒に作ろう」非難をやめて設計する
NG「加工なんてやめな」
OK「加工したくなる気持ちは分かるよ。現実の自分の基準も守ろうね」両立させる
NG「見なければ平気でしょ」
OK「見ないのは難しいよね。減らす・時間を区切るが現実的だよ」実行できる形にする

5)体調・生理・心の不調への声かけへの声かけ(10)

このカテゴリだけは、言い方以前の大原則があります。**つらさの評価を、他人がしない。** 痛みも不調も、本人にしか分かりません。

NG「甘えるな」
OK「それは体のアラームかも。今日は回復にあてよう」とらえ直す
NG「薬飲めば?」
OK「薬も一つの手だね。今どのくらいつらい? 10点満点で何点?」程度を一緒に測る
NG「生理くらいで」
OK「痛みは人それぞれだよ。今日はどんな配慮があると助かる?」尊重する
NG「気のせいでしょ」
OK「気のせいじゃなくて、体がサインを出してるのかも」信じる
NG「寝れば治るよ」
OK「寝るのは大事。あわせて寝る前のスマホも減らしてみようか」複数の手を打つ
NG「学校を休むな」
OK「行く・休むの二択じゃなくて、“軽くして行く”もあるよ」中間の道を作る
NG「ちゃんと説明しなさい」
OK「短くでいいよ。「今日は集中が落ちる日」で十分伝わるから」説明の負担を減らす
NG「頑張って行きなさい」
OK「今日は何を減らせば行けそう? しんどい授業は席を外すとか」調整する
NG「いつもそうじゃん」
OK「今日は特に、どの症状が強い?」日ごとの変化を認める
NG「迷惑かけるな」
OK「助けを求めるのは迷惑じゃないよ。頼り方を決めておこう」安心を約束する

種明かし・・・OKの一言は、5つの部品でできている

50個を眺めると、OK側は同じ部品の組み合わせだと分かります。

  1. 焦点化・・・「どの部分が一番?」。全部が不安、を一つに絞る
  2. 実態把握・・・「何が一番つらい?」。決めつけずに聞く
  3. 分類・分解・・・「どのタイプ?」。大きな悩みを扱える大きさに切る
  4. 再定義・・・「弱さじゃなくてサイン」。評価の言葉を、状態の言葉に置き換える
  5. 運用化・・・「時間帯を決めよう」「順番を決めよう」。気合いではなく仕組みにする

この5つさえ手元にあれば、辞典に載っていない場面でも、自分でOKの一言が作れます。50個の暗記より、部品5つ。こちらが本体です。

使うときの注意を、3つだけ

🍀 困ったときの相談先(ひとりで抱えないための窓口)


おまけ・・・「悩み大全マップ」を置いておきます

この辞典のもとになった、134の悩みを14の棚に整理した1枚マップを作りました。A3で印刷すると、教室にも家にも貼れる大きさです。★を付けて、止血ポイントを1つ選んで、今日の行動を1つだけ決める。それだけの道具です。

A3・1枚・無料配布
今どき女子高生の悩み大全マップ
画面で見る A3印刷用PDF
登録不要・そのまま印刷できます

おわりに・・・この辞典は、連載の“別冊”です

わたしは、悩みは「気持ち」ではなく「構造」で守るものだと考えています。気にしすぎな性格を直すのではなく、比べてしまう自分を責めるのでもなく、壊れないための仕組みを先に作っておく。

この考え方を、連載「壊れないための守り方」(全5回)として順番に書いていきます。この辞典はその別冊・・・大人の側から今日すぐ始められる、いちばん小さな一歩です。

よかったら、50個の中から1つだけ、選んでみませんか。合わなければ、この辞典ごと閉じてもらって大丈夫です。選んだ1個が、いつかの夜の会話を少しだけ守ってくれたら、それで十分です。


気持ちに名前をつける道具は、こちらにまとめてあります。

保存版・意味と使いどころつき
感情辞典
気持ちに名前をつける180語
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「うまく言えない」側の景色は、この講で書きました。

30年飛び級講習 第8講
うまく言えないのは、
語彙が足りないからじゃない
第8講を読む
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