コンビニに「たんぱく質○○g」と書かれた商品が並び、プロテインは薬局でもスーパーでも買えるようになりました。
「たんぱく質は大事」・・・ここまでは、もうみんな知っています。
でも、こう聞かれたら答えられるでしょうか。
「で、あなたは1日に何グラム必要なんですか?」
ここで止まる人が、ほとんどだと思います。何となく大事だから、何となく高たんぱくのものを選ぶ。目標がないままフォームだけ真似している状態です。
先に、この記事の結論を書いておきます。
食べ方は、人のマネをしていい。でも目標量だけは、マネをしてはいけません。 必要な量は体重で変わるからです。そして、自分の量は、かけ算1回で出せます。
まず、運動をあまりしない日常を送っている人のスタートラインです。
国の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、たんぱく質の推奨量はこう示されています。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 12〜14歳 | 60g/日 | 55g/日 |
| 15〜17歳 | 65g/日 | 55g/日 |
| 18〜64歳 | 65g/日 | 50g/日 |
見てほしいのは、中高生はすでに大人と同じ水準だということです。体を作っている最中だからです。「子どもだから少なめでいい」は、たんぱく質については逆なのです。
部活・筋トレ・ランニング・・・定期的に体を動かしている人は、国の基準では足りない可能性が高くなります。
ここで物差しが1本だけ登場します。国際スポーツ栄養学会(ISSN)の指針では、運動習慣のある人のたんぱく質は、
体重1kgあたり 1.4〜2.0g/日
が目安とされています(2017年の公式見解)。かけ算してみると、こうなります。
| 体重 | ×1.4(下限の目安) | ×2.0(上限の目安) |
|---|---|---|
| 50kg | 70g | 100g |
| 60kg | 84g | 120g |
| 70kg | 98g | 140g |
どちらに寄せるかは、運動量しだいです。週に数回、軽く動かす程度なら下限側から。ほぼ毎日しっかり動くなら真ん中から上を目安に。まず下限を安定して取れるようになってから、上を目指すのが現実的です。
「1日84g」と言われても、まだ食卓が思い浮かびません。数字を食品に変換します。
| 食品 | 目安量 | たんぱく質 |
|---|---|---|
| 卵 | 1個 | 約6g |
| 納豆 | 1パック | 約7g |
| 牛乳 | コップ1杯(200ml) | 約7g |
| 木綿豆腐 | 半丁(150g) | 約10g |
| 鶏むね肉(皮なし) | 100g | 約23g |
| まぐろ赤身の刺身 | 100g(5〜6切れ) | 約22〜24g |
| ごはん | 茶碗1杯 | 約4g |
※日本食品標準成分表(八訂)の値をもとにした概算です。
この換算表の拡大版として、スーパー・コンビニで買える80品目の早見マップを作りました。1回で15g以上とれる主力には★印。冷蔵庫や台所に貼れるA3印刷版もあります。
たとえば「1日70g」の日は、こんな景色になります。
これで合計77g。特別な食材はひとつもありません。 3食に分けると、1食あたりは20g台。1食に全部まとめようとすると急に難しくなるので、朝から少しずつ積むのがコツです。朝がいちばん抜けやすく、いちばん積み損ねやすい枠です。
プロテインを使うかどうかで迷う人も多いと思います。位置づけはシンプルです。
主役は食事。プロテインは、食事で届かない日の橋。
忙しくて昼がパンだけになった日、食欲がない日、練習で消耗した日。そういう日に不足分を埋める道具として使うなら、とても便利です。逆に、食事を削ってプロテインに置き換えていくのは順番が逆です。
そして、大事な注意をひとつ。腎臓に持病がある人、健診で腎機能を指摘されたことがある人は、たんぱく質を増やす前に必ずお医者さんに相談してください。 また、体重×2.0gを大きく超えるような量を自己判断で続けるのはおすすめしません。多いほど良い、という話ではないのです。
自分の必要量を計算するのは、一度やれば終わりです。体重が大きく変わらない限り、目標はそう動きません。
かけ算1回。それだけで、コンビニの棚の前でも、外食のメニューの前でも、「自分にとって足りているか」を自分の物差しで判断できるようになります。誰かのおすすめではなく、自分の数字で選べる・・・それは食事に限らず、けっこう気持ちのいいことです。
人生は、たとえ遠回りしても、いつでも今からリニューアルできます。食べ方の基準も、今日から自分の手で持てます。
(秋元進吾)
計算機に体重を入れて、自分のレンジを出してみてください。そして今日の食事を、さっきの換算表でざっくり足し算してみる。足りているかどうかを、今日はじめて“数字で”知る。 それだけで十分です。
食事は、体の土台の3本柱のひとつです。全体像はこちら。
たんぱく質を「迷わず取れる場所」に置く話は、こちらです。