公開日: 2026-07-13
更新しました(2026年9月26日) 挿絵を入れました

こんにちは。秋元進吾です✍️
「冷蔵庫コンシェルジュ」というアプリを公開しました。
レシートを撮ると冷蔵庫の在庫リストができて、期限が近い食材から先に使うように、今夜の3品や1週間分の献立をAIが考えてくれる・・・そんな台所の相棒です。
今日はその制作秘話を。実はこのアプリ、生まれるまでに半年かかっています。
正確に言うと、「思いつくのに1分、寝かせるのに半年、作るのに3日」でした。
今年の3月、わたしはAIと「どんなアプリが作れるだろう」という壁打ちをしていました。
出てきたアイデアはなんと100個。その中のたった1行に、こう書いてありました。
冷蔵庫の残り物レシピ:写真を撮ると今作れる料理を提案。
「いいね」と思って、選りすぐりリストに入れて・・・そのまま忘れました。
アイデアって、そういうものですよね。思いつくことより、掘り起こすことのほうが難しい。
7月のある日、ふと思い出して、AIに頼みました。
「あのとき話した冷蔵庫のアプリ、メモの山から探してきて。形にしたい」。
半年前の自分からの引き継ぎ書は、ちゃんとメモの中で待っていてくれました。
最初の構想はシンプルでした。冷蔵庫の中をガバッと撮って、AIに「何がある?」と聞く。
でも考えてみると、これには弱点があります。庫内の写真って、奥のものは見えないし、タッパーの中身なんてAIにも分かりません。
そこで順番を変えました。
しまう前に、撮る。

買い物から帰ってきて、レシートをパシャリ。それだけで品名も値段も、だいたいの賞味期限も、AIが読み取って在庫リストにしてくれる。冷蔵庫に入れる「前」なら、全部見えているんだから確実です。
買い物から献立まで、流れがひとつにつながった瞬間でした。
形になったアプリを触ってもらうと、鋭い指摘が次々と飛んできました。
「レシートで登録したあと、同じものを写真でも登録したら、二重にならない?」
→ 同じ名前の食材は自動でひとつにまとめる仕組みに。機能になった。
「残量を減らすのはできるけど、まだあるのに買ってきちゃうこともあるよ。増やすボタンは?」
→ +−ボタンに。機能になった。
「最初の3品が好みに合わなかったら?」
→ 「ほかの3品も見る」ボタンに。機能になった。
作った本人には見えないものが、使う人には一瞬で見える。
アプリって、公開してからのほうが育つんです。
開発中、不思議なバグにも出会いました。
朝にレシートを登録すると、なぜか「昨日の買い物」として記録される。夜に試すと直っている。
犯人は時差でした。コンピュータの世界標準時は日本より9時間遅れているので、朝9時前の日本は、世界標準時ではまだ「昨日」。プログラムが世界標準時で日付を数えていたせいで、朝だけ1日ズレていたんです。
賞味期限を扱うアプリで日付がズレるのは致命傷。公開前に見つけられて、ほっとしました。
こういう地味な虫取りも、AIと一緒だと「再現して、原因を特定して、直して、確かめる」が数分で回ります。
公開後、面白いことがありました。
アプリのURLを打ち間違えて、別のページを開いてしまったんです。すると画面には、誰かが作った「合言葉を入力して、家族で冷蔵庫の中身を共有しましょう」というアプリが。
実はそのとき、わたしはちょうど「経済的に大変な友人には、合い言葉を知っている人だけ無料で全機能を使えるようにしたい」という仕組みを考えていたところでした。
偶然開いた他人のアプリが、同じ発想で作られていた。打ち間違いが、まさかの答え合わせです。
この仕組みは実装しました。合い言葉を持っている人は、難しい設定なしでAI機能まで全部使えます。
もうひとつ、こだわった話を。
このアプリのAI機能を使うには、本来AIの利用登録が必要です。でもそれって、正直ハードルが高い。
だから設計の軸をこう決めました。
いちばん怖いのは金額そのものじゃなくて、「いくらかかるか見えないこと」。
だったら、ぜんぶ見せてしまえばいい。使うたびに「AI費 約2円」と出て、月の合計も見える。安心して使ってもらうための、いちばんの機能だと思っています。
振り返ると・・・
昔なら企画書を書いて、開発会社に見積もりを取って、数ヶ月と数百万円かかった話です。
それが今は、AIと二人三脚で、思いついた週のうちに世に出せる。
大事なのはプログラミングの知識より、「うちの冷蔵庫、期限切れがよく出るんだよな」みたいな、暮らしの中の小さな困りごとに気づく目なんだと思います。
アプリはこちらから使えます。スマホのホーム画面に置けば、ふつうのアプリと同じです。
👉 冷蔵庫コンシェルジュ(ホーム画面への置き方はこちら)
あなたの「いつかやる」の冷凍庫にも、半年眠っているアイデアはありませんか。
解凍は、意外と3日でできますよ。