公開日: 2026-08-10
更新しました(2026年9月26日) 挿絵を入れました
コンビニのレジの横に、よく貼ってあります。
「スタッフ募集。時給1,150円。週2日からOK」
この張り紙、前回の"1つの文"でいうと、いちばん最初の空欄・・・「だれが」の話です。今日はここを掘ります。
先に、ちょっとびっくりする話をひとつ。同じ店で、同じ制服を着て、同じレジを打っている3人が、実は全員ちがう契約で働いていることがあります。見た目では、まったく分かりません。

細かい話の前に、いちばん大きな分かれ方から。お金のもらい方で見ると、働き方は4つの立場に分けられます。
ひとつめ。"雇われて働く"。自分の時間と腕を会社に貸して、給料をもらう立場です。世の中のいちばん多くの人がここにいます。
ふたつめ。"自分でやる"。お店を開く、フリーランス(会社に属さず仕事を請ける人)になる。腕を直接お客に売る立場です。
みっつめ。"仕組みを持つ"。会社をつくって、人にお願いする側に回る立場。おにぎり工場の社長です。
よっつめ。"お金に働いてもらう"。株や不動産にお金を出して、その働きの分け前をもらう立場。投資です。
おにぎり工場を思い出してください。ラインで働く人(雇われる)、味を監修する料理研究家(自分でやる)、工場の社長(仕組みを持つ)、工場の会社の株主(お金に働いてもらう)。ぜんぶ、あの工場に揃っています。

どれが上、という話ではありません。文の中身がちがうだけです。ただ、この4つは行き来できます。雇われて腕を磨いてから自分でやる人も、自分でやりながら少しずつ投資する人もいます。立場は、一生ものの身分ではなくて、選び直せる乗り物です。
さて、本題です。いちばん人数の多い「雇われる」の中に、さらに種類があります。バイトを始める前に、ここだけは知っておいてほしいところです。
| 種類 | 期限 | 雇い主 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 正社員 | なし | 働く場所の会社 | フルタイムが基本。いちばん"長く一緒に"の約束 |
| 契約社員 | あり(1年など) | 働く場所の会社 | 期限が来たら更新するか決める |
| パート・アルバイト | さまざま | 働く場所の会社 | 時間が短め。学生のバイトはここ |
| 派遣社員 | あり | 派遣会社 | 雇い主と働く場所が"別の会社" |
| 業務委託 | 契約による | いない(雇われていない) | 時間ではなく"結果"の約束 |
注目してほしいのは、下の2つです。
派遣社員は、雇い主(給料を払う会社)と、働く場所(指示を出す会社)が別です。コンビニのレジに立っていても、給料は派遣会社から出ている、ということが起こります。

業務委託は、もっとちがいます。そもそも"雇われていません"。「この仕事を仕上げたら、いくら」という結果の約束です。時間を売っているのではなく、結果を売っている。つまり、4つの立場でいうと「自分でやる」側の入り口です。
ここで、知っておくべき大事なことをひとつ。働く人を守るルール・・・最低賃金(これより安く働かせてはいけない時給の下限)や、労災(仕事中のケガの補償)といったものは、"雇われている人"を守るためのルールです。業務委託は雇われていないので、守られ方が変わります。自由な分、自分で自分を守る必要が出てくる。良い悪いではなく、そういう仕組みだと知っておいてください。
高校生になってバイトを考えるとき、求人で見るところを4つだけ。
時給。雇い主はだれか(お店の会社か、派遣会社か)。交通費は出るか。そして、何時まで働くことになっているか。
最後のひとつは、法律の話です。18歳未満は、原則として夜10時から朝5時まで働けないことになっています(労働基準法)。「夜11時までのシフトに入って」と言われたら、それはルール違反のほうがおかしい。知っているだけで、自分を守れます。
雇われて働いている人(役員を除く)のうち、およそ10人に4人近くが、正社員ではない働き方・・・パート、アルバイト、派遣、契約社員などで働いています。
(総務省「労働力調査」)
学生や、定年後にもう一度働く人が多くふくまれるので、年齢によって割合は大きくちがいます。数字はいつも、中身とセットで見るのがコツです。
求人をひとつ、見てみてください。店先の張り紙でも、求人サイトでもいいです。
そして2つだけ当ててみてください。「これは5種類のどれか」「雇い主はだれか」。
余力があれば、時給×1日の時間×週の日数×4週で、月にいくらになるか計算してみてください。数字にすると、時給1,150円という文字が、急に現実になります。
「だれが」の次は、「何を」です。
カラオケ屋さんは、何を売っているんでしょうか。部屋? マイク? ドリンク?
実は、どれでもありません。次回、商品の正体の話をします。
2026年8月18日 ファクトチェックを行い、数字の窓を「およそ3人に1人」から「およそ10人に4人近く」に直しました。総務省「労働力調査」の最新の値で、非正規で働く人の割合が37%前後になっているためです。夜10時から朝5時までの決まり(労働基準法)は、確認したうえでそのままにしています。