公開日: 2026-08-08

新しいドメインは、疑われることから始まる

更新しました(2026年9月26日) 挿絵を入れました

24Hで「病気の媒介者」からNoteworthy(注目に値する)に評価が激変した理由

古い関所の門の手前に新しい屋台があり、店主の手が門番へ無地の通行手形を差し出している。

こんにちは。秋元進吾です。

8月6日の夜の話です。

この日、新しい連載と記事5本をサイトに公開しました。作業を終えて、確認のために自分のサイトを開いたら・・・開かない。

「このサイトにアクセスできません」
「akimo10shin5.com からの応答時間が長すぎます」

何度再読み込みしても、同じでした。

4月から少しずつ育ててきた自分のサイトです。それが急に開けない。よりによって、記事を出し終えた直後にです。


開けないのは「家からだけ」だった

落ち着いて、切り分けをしました。

スマホのWi-Fiを切って、携帯の回線で開くと・・・開ける。普通に開ける。

家のWi-Fiに戻すと、開けない。PCでもスマホでも開けない。

そして、他のサイトは全部開けるんです。GoogleもYouTubeも、何もかも普通。開けないのは、世界中で私のサイトだけ。

サイトは生きている。家の回線も生きている。なのに、その組み合わせだけが死んでいる。


犯人は「住所」ではなく「名前」だった

ここからはAI(Claude)と一緒に調べました。

住所の問い合わせ(DNS)は正常。サーバーへの接続も通る。でも、暗号化通信が始まった瞬間に、通信が黙って捨てられている。

決め手になったのは、入れ替え実験でした。

正常につながるサーバーに「akimo10shin5.com」という名前で接続すると、死ぬ。逆に、さっきまで死んでいたサーバーに、別のサイトの名前で接続すると、通る。

つまり、悪いのは住所ではなく、名前。

「akimo10shin5.com」というドメイン名そのものが、家のWi-Fiの経路上で、名指しでブロックされていました。

仕組みを少しだけ。暗号化された通信でも、「どこのサイトに行きたいか」という宛名だけは、封筒の表書きのように外から読める作りになっています。経路上の見張り番はそこを読んで、リストに載っている名前の通信を、配達ごと捨てる。

番小屋で後ろ姿の番人が錠前付きの封筒を名簿と見比べ、1通だけ脇のかごへそっと外している。

捨てられた側の画面には「応答時間が長すぎます」としか出ません。見張り番は「止めました」とすら言ってくれないのです。


照会したら「新顔」だった

では、なぜ私のサイトの名前がリストに載っているのか。

セキュリティ大手のTrend Microには、世界中のサイトの評価を照会できるページがあります。自分のドメインを調べてみると、こう出ました。

Untested(未評価)。カテゴリは、Newly Observed Domain(最近観測されたばかりのドメイン)。

危険と言われたわけではありません。「まだ誰も評価していない新顔」。ただそれだけの理由で、疑われていました。

これ、実はセキュリティ業界の標準的な設計だそうです。フィッシング詐欺の大半は、作って数日の使い捨てドメインを使います。だから世界中のフィルタが「新顔は、身元が分かるまで通さない」という方針で動いている。

言ってみれば、関所です。

noteやはてなブログで書いている限り、これは起きません。note.comという古参のドメインの中に住んでいるからです。でも独自ドメインを取った瞬間、誰もが新顔から始まる。

私は知らずに、関所の前で店を開いていたわけです。


申請したら、悪化した

照会ページから「これは安全な個人サイトです」と分類申請を出しました。サイトの持ち主として、審査してもらえることになりました。

夜、結果のメールが来ました。

Dangerous(危険)。カテゴリ、Disease Vector(病気の媒介者)。

・・・悪化しとるやないか。

未評価どころか、はっきり「危険なサイト」の烙印です。どうやら機械の自動審査が、サイトで無料配布している資料のZIPファイル22個を、マルウェア配布サイトのパターンと見間違えたようでした。日本語のファイル名は、機械の目には怪しい暗号に見えたのかもしれません。

自分のサイトが病原体扱いされた夜は、なかなかへこみました。


事実を並べたら、20分で逆転した

翌日、反撃の準備をしました。

配布しているZIPファイル22個の中身を、全部検証しました。結果は、PDFが117個、文書ファイルが84個、HTMLが16個。実行ファイル、ゼロ。スクリプト、ゼロ。怪しいもの、ゼロ。ぜんぶ、ただの書類でした。

その事実を並べて、「機械ではなく、人間の再審査をお願いします」という一文を添えて、2回目の異議申し立てを送りました。

返事は、約20分後に来ました。

Safe(安全)。カテゴリ、Blogs / Web Communications。おまけに、Noteworthy(注目に値する)の札つきです。

病気の媒介者と呼ばれてから、24時間もたっていませんでした。

1回目と2回目で、私のサイトは1文字も変わっていません。変わったのは、審査する側に渡した事実の量だけ。機械の自動判定に落とされても、中身を検証して、事実を並べて、人間に届ける。それで通りました。


ルーターの記録には「950件」とあった

仕上げに、家のWi-Fiルーターのアプリを開きました。セキュリティ機能の画面に、こう表示されていました。

ブロックしたイベント:950件。

その大半が、私が自分のサイトに行こうとして止められた記録です。

ルーターは、悪くないんです。「リストに載っている名前は止める」という仕事を、950回、まじめにやっただけ。間違っていたのは、リストのほうでした。

こうして、PCからもスマホからも、家のWi-Fiで自分のサイトが開けるようになりました。発見から解決まで、丸2日でした。


独自ドメインを持つ人へ、関所の通り方

同じ道を通る人のために、今回の学びを置いておきます。

一つめ。独自ドメインは、疑われることから始まります。あなたのサイトが悪いのではなく、新顔を疑う設計だから。通過儀礼だと思ってください。

二つめ。サイトを公開したら、評価データベースに挨拶しておく。Trend Micro、Norton、McAfee、Googleあたりの照会ページで自分のドメインを調べて、未評価なら「安全な個人サイトです」と申請しておく。読者が開けなくなってから気づくより、先回りのほうがずっと楽です。

三つめ。機械に落とされても、あきらめない。中身を検証して、事実を並べて、人間の再審査を求める。サイトを1文字も変えなくても、渡す事実の量で結果は変わります。

四つめ。これがいちばん大事なのですが・・・止められた読者には、何も見えません。「開けない」という人は、わざわざ連絡をくれません。静かに離れていくだけです。だから、サイト側が先に知っておくしかないのです。


「やっと開けた」と言ったのは、私でした

解決した夜、家のパソコンで自分のサイトが開いたとき、思わず「やっと開けた」と声が出ました。

自分のサイトを、自分の家から見るだけのことです。それがこんなにうれしいとは、思っていませんでした。

そして同時に、少し怖くなりました。

私は自分のサイトだったから、開かないことに気づけました。二日かけて、原因も突き止められました。でも、たまたま訪ねてくれた方は、そうはいきません。「応答時間が長すぎます」の画面を見て、たぶん、そっと閉じます。わざわざ「開けませんでした」と連絡をくれる人は、まずいません。

つまり私は、二日のあいだ、誰が来て、誰が帰ったのかを知らないままだったわけです。

だから、この記事を書きました。もしあのとき開けなかった方がいらっしゃったら、伝えたかったのです。あれはあなたの機械の故障でも、サイトの壊れでもなく、「新顔を疑う関所」のせいでした、と。

最後に、ひとつだけ。

もしこれから、どこかの新しいサイトが「応答時間が長すぎます」で開けなかったら、思い出してください。そのサイトは壊れているのではなく、関所で止められている新顔なだけかもしれません。数日おいて、もう一度だけ試してもらえたら。

作った人は、その一回に、けっこう救われます。


「難しい話はいいので、結局どういうことだったのか知りたい」という方には、専門用語なしで書いた「あれ?サイトにアクセスできない」となっていた方へ、お詫びとお知らせもあります。

この騒動の発端になった連載は、過去のメルマガをAIに評価してもらったらです。よかったらどうぞ。

この記事を書いた人

秋元進吾(進選ライフ)。AI活用、コンテンツ制作、アプリづくり、職人向けコンサル、暮らしのサポートを一人でやっています。

akimo10shin5.com