「片づけられない」は、だらしないからじゃない。整理収納サポートという頼り方

更新しました(2026年9月26日) 挿絵を入れました


こんにちは。秋元進吾です。今日は、家の中のモノに行き詰まっている方へ、そっとお届けします。

押し入れの戸を開けて、二秒見て、また閉める。「今度の連休こそ」と思ってから、もう三年たっている。引っ越しの段ボールが、開かないまま部屋の隅に積まれている。実家に帰るたび、親の家のモノが増えているのが気になるけれど、口に出すとケンカになるから言えない。

押し入れの前に人の後ろ姿が立ち、半分開けた戸の中に箱と布団が詰まり、部屋の隅には封をした段ボールが3箱重なっている。

・・・そんな状態を、自分の意志が弱いせいだと思っていませんか。

私は、思っていました。でも調べるうちに、そうではないと分かってきました。モノが多すぎて、置き場所が決まっていない。多くは、ただそれだけのことなんですね。そこを一緒に決め直してくれる「整理収納サポート」という仕事も、ちゃんとありました。

このガイドは、専門家ぶるための記事ではありません。頼む側として何を知っておけばよかったのか、かつての自分に渡したかった予習ノートを、そのままお裾分けします。


整理収納サポートとは・・・「一緒に決めていく」仕事です

整理収納サポートとは、片づけの専門家がご自宅に来て、ご本人と一緒にモノを整理し、続けやすい収納の仕組みをつくってくれるサービスです。

誤解されやすいところを先に。これは「片づけ代行」ではありません。似た名前のサービスと並べると、違いがはっきりします。

掃除・運び出し・仕分けの3場面が横に並び、二人の手が品物を3つのかごに分ける場面だけ緑の枠で囲まれている。

留守のあいだにきれいにしておいてもらう仕事ではなく、その場に一緒にいて「これは残す」「これは手放す」を決めていく仕事なんですね。手間はかかります。でも置き場所を自分で決めたからこそ、あとで元に戻せる。リバウンドしにくい暮らしを残すのがゴールなので、この進め方には理由があります。

なお、この仕事に国家資格はありません。「整理収納アドバイザー」などの民間資格はありますが、免許ではなく、片づけの考え方をひととおり学んだという目安です。代表的な資格は累計の受講者が20万人を超えるとされ、持っていること自体が特別というより、共通の言葉を持っている印くらいに受け取るのがちょうどいい。資格より、このあとの段取りで差がつきます。


料金の目安

いちばん気になる、お金の話です。

金額に絶対の正解はありません。部屋の広さ、モノの量、地域、来てもらう人数で変わるからです。あくまで「目安の幅」として、こんな水準と言われています。

見落としやすいのが人数です。1名で3時間か、2名で3時間かで、進む量も金額も変わります。収納ケースなどの代金も、サービス料金とは別の実費になるのが一般的です。

金額を見るコツは、「一式いくら」で受け取らないこと。時間制か一式か、交通費は込みか別か、延長はいくらか。ここを最初にはっきり聞いておく。良い事業者ほど、この説明をいやがりません。

なお、一部の自治体や企業では、家事支援サービスの利用料を補助する取り組みも出てきています。市区町村の窓口や勤務先の福利厚生を、一度のぞいてみてください〔制度の有無・内容は地域や時期で異なるため要確認〕。


当日の流れ

初めて頼むとき不安なのは、「家に上がってもらって、何をされるのか分からない」ことだと思います。流れを知るだけで、ずいぶん楽になります。

  1. ヒアリング・・・困っていること、理想の暮らし、どこから手をつけるかを話します。30分から60分ほど。作業時間に含むかは事業者ごとに違います〔要確認〕
  2. 全部出す・・・対象の場所から、いったんモノをすべて出して並べます。「こんなに持っていたのか」と驚く時間です
  3. 仕分け・・・残すもの、手放すもの、迷うものに分けます。ここが、この仕事の心臓部です
  4. 収納づくり・・・残すと決めたモノに、戻す場所を決めます。使う場所の近くに、取り出しやすい高さで
  5. 振り返り・・・どこに何を置いたか、これからどう保つかを一緒に確認して終わります
押し入れの片付けが、相談から全部出し、仕分け、収納、二人で眺める後ろ姿まで五コマで進んでいる。

1回で家じゅうが片づくわけではありません。3時間で進むのは、押し入れひとつ、キッチンの引き出し数段、クローゼット半分・・・そのくらいが現実的です。「一日で家一軒」を約束してくる相手には、むしろ用心を。小さく区切って、片づいた場所を一か所つくる。その一か所が、次のやる気を連れてきます。


「勝手に捨てられた」を防ぐ

頼む側がいちばん怖いのは、ここではないでしょうか。私も、そこがずっと引っかかっていました。

原則は、はっきりしています。手放すかどうかを決めるのは、いつでもご本人です。専門家は選択肢と考え方を示す人であって、判断する人ではありません。この一線を守れる人かどうかが、いちばんの分かれ目です。

そのうえで、頼む側からできる備えが四つあります。

ひとつ目は、作業前の合意。今日どこをやるのか、手放すモノはどう決めるのか。口約束ではなく、簡単でいいので紙やメールに残しておく。「室内のモノ一切」といったあいまいな書き方ではなく、対象の場所とモノを具体的に書いておくと、行き違いが起きにくくなります。

ふたつ目は、迷い箱。その場で決められないモノは保留の箱へ入れ、「三か月後にもう一度開ける」と期限だけ決めておく。この箱があるだけで、気持ちの圧がぐっと下がります。急かされて捨てたモノほど、あとで悔いが残るものですから。

三つ目は、写真の記録。作業前と作業後の写真は、何がどう変わったかを残すために撮ります。確認したいのは、その使い道です。記録として保管するだけなのか、SNSやホームページに載せるのか。この二つは別の話なので、載せるなら改めて同意を求めてくれる人を選んでください。

四つ目は、貴重品。現金・通帳・印鑑・大事な書類は、作業の前にご自身の手元へまとめておく。良い事業者は「見つけても手を触れず、その場でお伝えします」と最初に言ってくれます。作業中の破損に備えて損害賠償責任保険に入っているかも、あわせて聞いておくと安心です〔加入の有無・補償内容は事業者ごとに異なるため要確認〕。

親御さんの家を片づけたい方には、もうひとつだけ。決めるのは親御さんご本人です。ご家族がよかれと思って先に判断してしまうと、そこから信頼が崩れることがあります。第三者が間に入る本当の価値は、実はここにあるのかもしれません。


不用品はどうなるのか

仕分けが終わると、「手放すと決めたモノ」が残ります。これをどうするかは、間違えると厄介な部分です。

基本は、自治体のルールに沿って、持ち主であるご自身が出すこと。粗大ごみは事前の申し込みと手数料券が要る自治体がほとんどですから、作業日の前に受付だけ済ませておくと当日がスムーズです。担当者は分別や袋詰めを手伝えても、ごみを出す主体はあくまでご本人、というのが基本の考え方です〔自治体ごとに扱いが異なるため要確認〕。

ここから先は、許可の世界です。まだ使えるモノを買い取ってもらうなら、買い取る側には古物商許可(都道府県公安委員会の許可)が要るとされています。家庭の不用品を有料で回収して運ぶなら、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可。整理収納の担当者がこれを持っていることはまれで、量が多いときは許可業者へ橋渡ししてもらう形が一般的です〔要確認〕。

正直にお伝えしておきます。無許可で回収を行う業者をめぐるトラブルは、実際に相談として積み上がっています。国民生活センターの公表では、不用品回収の相談は2018年度の1,300件台から2021年度には2,200件台へと増える傾向にありました。「無料回収」「トラック積み放題いくら」と表示しておきながら、当日に人件費や処分費の名目で高額を請求される。回収されたモノが不法投棄される恐れもある、と注意が呼びかけられています。

防ぎ方はむずかしくありません。回収を頼むときは、市区町村のホームページや窓口で許可業者を確認する。それだけです。そして整理収納サポートを選ぶときは、「許可の要ることはしません」と自分から線を引ける人を。この一言が言える人は、信頼できると思っています。


良い整理収納サポートの見分け方・5つ

むずかしい知識はいりません。次の5つを、問い合わせや初回のやりとりで見てください。

  1. 「捨てるかどうかを決めるのはお客様です」と、自分の言葉で先に言ってくれる。こちらが聞く前に言えるかが、いちばんの目安です
  2. 料金が、範囲まで含めて明朗。時間制か一式か、交通費、延長料金、収納用品の実費まで、あとから追加が出ない形で示してくれる
  3. 不用品の線引きを説明できる。自治体ルールで出す分と、許可が要る買取・回収の違いを、すっと整理して話せる
  4. 損害賠償責任保険に加入している。「万一の破損はどうなりますか」に、はっきり答えられる
  5. 写真と報告のルールを先に決めてくれる。記録用か掲載用かを分けて確認してくれる

5つ全部が満点でなくても大丈夫です。でも、料金があいまいで・「まとめて処分しましょう」と判断を急がせて・保険や許可の質問をはぐらかす、この3つが揃ったら、いったん離れて別の事業者をあたっていい合図だと思います。


頼み方は、たった3ステップ

入口は、思っているよりずっとシンプルです。

  1. 片づけたい場所を、一か所だけ決める。家じゅうではなく、押し入れひとつ、シンク下ひとつでかまいません
  2. 2社か3社に、同じ質問をぶつける。料金の内訳、当日の流れ、不用品の扱い、保険の有無。答え方の違いで、相手のことが見えてきます
  3. 初回は、3時間で一か所から。まずは相性を確かめる時間だと思ってください

親御さんの家の場合は、この前にもうひとつ。担当のケアマネジャー(介護の計画を立てる専門職)や、地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)に相談してみてください。住み替えや生前整理の相談は、まずここに集まります。相談そのものは、多くの場合、無料です。

ちなみに、高齢の方が施設へ住み替えるとき、持ち込める荷物はおおむね200点ほどと言われます〔施設により異なるため要確認〕。家一軒分から200点へ。この橋渡しを、ご家族だけで背負う必要はありません。


まとめ・・・片づけは、性格ではなく仕組みの話

最後に、これだけ持って帰ってください。

片づけられないのは、だらしないからでも、意志が弱いからでもありません。モノが多すぎて、置き場所が決まっていない。多くの場合、原因はそれだけです。性格の問題だと思っているうちは、自分を責めるばかりで前に進めません。でも仕組みの問題だと分かれば、仕組みは変えられます。

捨てさせられるのではなく、一緒に決めていく。そういう頼り方が、ちゃんとあります。

今日の1アクションは、これだけです。

家の中で「ここが片づいたら、毎日が少しラクになる」と思う場所を、一か所だけ書き出してみませんか。押し入れでも、玄関の靴箱でもかまいません。頼むかどうかは、そのあとで決めればいい話です。まずは、行き先を一か所だけ決める。片づけは、そこから始まります。

それでは、また。あなたの家の空気が、少しでも軽くなりますように。


【免責事項】

本記事は、整理収納サポートの利用を検討する方が判断材料を得るための、一般的な情報提供を目的としています。記載内容は執筆時点の情報に基づくもので、料金・制度・許可の要否・自治体のごみ出しルール・補助制度の扱いは、地域や時期によって変わります。実際のサービス内容・料金・保険の加入状況・不用品の扱いは、必ず各事業者にご確認のうえ、お住まいの自治体や担当ケアマネジャーにもご相談いただき、ご自身の判断と責任でお決めください。本記事は特定の事業者・サービスを推奨・保証するものではありません。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、著者は責任を負いかねます。

【出典】

  1. 国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル・市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!」 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20221102_1.html
  2. 一般社団法人ハウスキーピング協会「講座一覧(整理収納アドバイザー)」 https://housekeeping.or.jp/about_license/
  3. 京都市「違法な『無許可』の不用品回収業者を利用しないでください!」 https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/page/0000307619.html
  4. 愛知県警察「古物営業法Q&A」 https://www.pref.aichi.jp/police/shinsei/sonota/qanda.html
  5. 矢野経済研究所「生前整理・身元保証サービス市場に関する調査(2025年)」 https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3807

著者:秋元進吾