更新しました(2026年9月26日) 挿絵を入れました
こんにちは。秋元進吾です。今日は、小さなお子さんを育てながら、毎日をなんとか回している方に向けて、そっとお届けします。
朝、送って、仕事に出て、夕方は時計を見ながら気持ちだけ先に走っている。会議が延びた日。園から「熱が出ました」と電話が鳴った日。産後で、体がまだ言うことをきいてくれない日。頼れる人が近くにいればいいけれど、実家は遠い。
「ベビーシッター」という言葉は、頭の片隅にあります。でも、検索する指が止まる。

知らない人を家に上げるのが、こわい。まだ言葉も足りないこの子を、他人にゆだねるのが、こわい。
・・・その止まった指のまま、今日も明日も回していくのは、しんどいです。
この記事は、頼りたいのに踏み出せない、あの数分間のために書きました。私自身、調べるまで知らない仕組みや補助がいくつもありました。
先に、ひとつだけ。人に頼るのは、甘えではありません。預け先を増やすことは、手を抜くことではなく、この子を知ってくれている大人を増やすことでもあります。
ベビーシッターとは、保護者に代わって、主にお子さんのご自宅で保育をする仕事です。法律上は「認可外の居宅訪問型保育事業」にあたります。子どもが施設に通うのではなく、保育する人が家に来る。ここが保育園との、いちばん大きな違いです。
似たサービスとの違いを、ざっくり整理しておきます。
どれが優れている、という話ではありません。埋めたい隙間が違うんですね。「お迎えから帰宅までの1時間が回らない」「発熱で登園できない日だけ困る」「産後、上の子の相手ができない」・・・施設では埋めきれないこういう時間に強いのが、訪問型です。

なお、家事はしない、お薬は預からない、といった線引きを持つ方が多く、どこまで頼めるかは事業者ごとに違います〔要確認〕。
正直にお伝えすると、金額に絶対の正解はありません。頼むルート、時間帯、お子さんの人数と状態で変わるからです。あくまで「目安の幅」として。
ここに、加算が乗ります。
見積もりのコツは、ひとつだけ。「一式いくら」で受け取らないことです。時給・加算・交通費・キャンセル料の4つを、必ず分けて先に聞いてください。良い事業者ほど、この説明をいやがりません。

料金表だけを見て「うちには無理だ」と閉じてしまう前に、補助を先に調べてください。負担の桁が変わることがあります。
まず、こども家庭庁のベビーシッター券(企業主導型ベビーシッター利用者支援事業)。勤務先がこの事業の承認事業主になっていれば、対象のお子さん1人につき1日あたり4,600円分(2,300円の割引券2枚)の割引が使えるとされています。1家庭あたり月24枚、年280枚までが上限です〔要確認〕。
勤務先が承認事業主かどうかは、実施団体の公益社団法人全国保育サービス協会のサイトで確認できます。載っていなければ、総務や人事に「承認事業主の申請はしていますか」と聞いてみるのも一手です。
自治体の制度もあります。たとえば東京都には、ベビーシッターの一時預かり利用に1時間あたり一定額までを補助する事業があり、都内の一部の区市町村で実施されています〔要確認〕。自治体の一時預かり事業や産前産後のヘルパー派遣は、シッターより費用が抑えられることが多いので、「シッターでないと埋まらない時間」と「一時預かりで足りる時間」を分けると家計が楽になります。
調べ方は、市区町村のサイトで「一時預かり」「ベビーシッター 補助」「産後 ヘルパー」と探すか、子育て支援の窓口に電話するのが早いです〔制度の有無・内容は自治体ごとに異なるため要確認〕。
ベビーシッターは認可外保育施設の一種です。2015年の児童福祉法改正で、個人で行う人も含めて、都道府県知事(指定都市・中核市ではその市長)への届出が義務づけられました。2016年4月からは、1日に預かる子どもが1人でも届出の対象とされています〔要確認〕。届出は、その人が制度の中で仕事をしているかどうかの、ひとつの目安になります。確かめ方は3つです。
保険も同じくらい大事です。預かっている間の対人・対物の事故に備えた賠償責任保険に入っているか。マッチングサイト経由なら運営会社が団体で加入していることが多いようですが、補償の範囲(外出中も対象かなど)はサービスで違います。「保険はどこまでが対象ですか」と聞いて、すっと答えが返るかを見てください〔要確認〕。
資格は、法律上は必須ではありません。無資格でも、届出をして働けます。そのうえで、保育士・幼稚園教諭・看護師や、全国保育サービス協会の「認定ベビーシッター」は判断材料になります。こども家庭庁も、資格の登録証を見せてもらって確認するよう案内しています。資格がすべてではありませんが、「見せてください」と言っていいのだと知っておくだけで、選ぶ側の足元はしっかりします。
こども家庭庁も、預ける前に必ず本人と会うことをすすめています。当日いきなり玄関で初対面、は避けたいところです。会えたら、この7つを。紙にメモして渡す形でも構いません。

大事なのは、この会話が気持ちよくできる相手かどうかです。細かく聞かれることを歓迎してくれる人は、たいてい信頼できます。
難しい知識はいりません。面談と最初のやりとりで、この5つを見てください。
全部が満点でなくても大丈夫です。でも、料金があいまいで・届出や保険の質問をはぐらかし・事前面談を嫌がる。この3つが揃ったら、いったん離れて別をあたっていい合図です。断ることは、失礼ではありません。
いきなり「夜に5時間おまかせ」から始めなくていいんです。1時間でいい。近くまで買い物に出るくらいの距離から、お子さんの様子と、自分の気持ちの動きを、ゆっくり確かめてください。
「人に預けるのがこわい」という気持ちは、なくならなくていいと思っています。それは、この子を大事に思っている、というだけの話だからです。
消すのではなく、こわさの中身を分けていく。届出は確認できた。保険も聞けた。緊急時の連絡も決めた。初回は自分が家にいる。そうやってひとつずつ小さくしていくと、最後に残るのは「まあ、大丈夫かな」くらいの、手のひらに乗るサイズになります。
そして、預け先ができると、増えるのは自由な時間だけではありません。この子を知ってくれている大人が、ひとり増えます。
今日の1アクションは、これだけです。
勤務先の総務や人事に、「うちはベビーシッター券の承認事業主になっていますか」と、ひとこと聞いてみませんか。なっていなければ、そこまでの話。でも、もしなっていたら、いちばん重かった部分が、ふっと軽くなります。
それでは、また。あなたとお子さんの毎日が、少しだけ息をつけますように。
【免責事項】
本記事は、ベビーシッターの利用を検討する保護者の方が判断材料を得るための、一般的な情報提供を目的としています。記載内容は執筆時点の情報に基づくもので、料金・加算・補助制度・届出や保険の取り扱い・法令の運用は、地域や時期、制度改定、ご家庭の条件によって変わります。実際の料金・サービス内容・補助の可否は、必ず各事業者、お住まいの市区町村の子育て支援窓口、および勤務先にご確認のうえ、ご自身の判断でお決めください。本記事は特定の事業者・サービスを推奨または保証するものではありません。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、著者は責任を負いかねます。
【出典】
著者:秋元進吾