プログラミングを学ぼうと検索すると、道が多すぎます。
HTMLとCSSとJavaScriptは基礎らしい。Pythonも人気らしい。データベースも要るらしい。ネットワークの知識も、セキュリティも、数学も・・・。全部を積むと山になり、山を見上げて、始める前に疲れて終わる。
この講のゴールは、その山を3つに仕分けして、いま登る分だけを手元に残すことです。学ぶ話ではなく、学ばないと決める話をします。
引っ越しにたとえます。
引っ越しの荷造りで時間を溶かす人は、持ち物を1つずつ「これは要るかな」と吟味します。早い人は逆で、先に「新居に持っていくのはこの箱3つ」と決めて、残りをまとめて処分に回す。持っていくものを選ぶより、捨てるものを決めるほうが早いのです。
学習も同じです。しかも、あなたには追い風があります。AI時代の学習は、"書けるようになるための知識"の大半を運ばなくてよくなりました。文法の暗記、書き方の定石、環境構築(プログラミングの道具一式を自分のパソコンにそろえる作業)の細かい手順。ここはAIが背負ってくれます。あなたが運ぶのは、読んで、判断して、守るための知識だけ。この講座の中身が、まさにそれです。
そのうえで、学習候補を3つの箱に分けます。
大事なのは、2つ目の箱は"捨てていない"ということです。玄関先に置いてあるだけで、必要な日が来たら開ければいい。この安心感があると、「今はやらない」が罪悪感なしに言えるようになります。箱を開けるべき日の見分け方は、最終講(第24講)でやります。ここでは箱に入れるところまで。
紙に線を2本引いて、3つの箱を作ってください。
「学んだほうがいいのかな」と一度でも頭をよぎったものを、思いつくまま書き出します。言語の名前でも、道具の名前でも、「なんとなく数学」みたいな曖昧なものでも構いません。
書き出したら、1つずつ箱に入れます。基準は1つだけ。"自分の作りたいもの・守りたいもの"に、今つながっているか。
つながっているなら「いま要る」。つながる場面が具体的に想像できるなら「必要になったら」。場面が想像できないなら「たぶん一生要らない」。
最後に、「いま要る」箱の中身を数えてください。3つ以下なら健全です。5つ以上あるなら、たぶん箱の基準がまだ「世間で大事と言われているか」になっています。主語を自分に戻して、もう一度。
そのまま貼って使えます。
1つ目の「忖度は不要です」は入れておく価値があります。AIは黙っていると「学んで損はありません」と言いがちで、それでは全部の荷物を運ぶ話に戻ってしまうからです。
入門書を1ページ目から順に読むこと。
正確に言えば、読むこと自体ではなく、"順に全部"が危険です。従来の入門書は、書ける人を育てる設計なので、序盤に環境構築と文法の暗記が並びます。ここは山のいちばん急な斜面で、しかもAI時代には運ばなくていい荷物です。昔からの挫折の定番は「環境構築でつまずいて、本編に入る前に終わる」。いちばん要らなくなった箇所で、いちばん多くの人が脱落してきました。
この講座が、第0講でいきなり"自分の一枚"を作るところから始まったのは偶然ではありません。荷物は、道で必要になったときに拾えばいい。