AI時代のプログラミング学習カリキュラム第13講 Git・戻せるという安心
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AI時代のプログラミング学習カリキュラム 第3部 壊れても直せる

第13講 Git・戻せるという安心

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この講で解けるようになる困りごと

いま動いているページに、新しい機能を足したい。でも怖い。動いているものを触って、壊して、二度と戻せなくなったら・・・。その恐怖で手が止まり、「動いているから、このままでいいか」と改善をあきらめる。

心当たりがあるなら、この講が転機になります。怖さの正体は、失敗ではありません。失敗が取り消せないことです。取り消せると分かっていれば、人は驚くほど大胆に試せるようになる。この講では、その"取り消せる仕組み"を手に入れます。


仕組み

ゲームのセーブポイントにたとえます。

強敵の前でセーブするのは、負けないためではありません。負けても、戦う前に戻れるようにするためです。セーブがあるから挑戦できる。もし負けたら最初からやり直しのゲームだったら、誰も強敵に挑まなくなります。動いているコードを触れないあなたは、いま、セーブの無いゲームをやっているのです。

Git(変更の履歴を残す仕組み)は、コードのセーブポイントです。世界中の開発者が使う道具で、機能は山ほどありますが、初心者が握るべき本質は2つだけです。

1つ目、節目でセーブする(この記録の操作をコミットと呼びます)。「ここまでは動く」という状態を、日付とメモつきで履歴に残す。

2つ目、いつでもセーブ地点に戻れる。試した変更が気に入らなければ、記録した状態まで巻き戻せる。

これだけで、開発の心理が一変します。「壊したらどうしよう」が、「壊してもセーブに戻ればいい」に変わる。第12講で使った手動コピーは、このセーブの手作り版でした。Gitはそれを、全履歴まとめて自動で管理してくれる道具です。あわせて、リポジトリ(Gitが履歴ごと管理している保管庫。自分のパソコンの中にも、GitHubのようなネット上の置き場にも作れます)という言葉だけ覚えてください。次の講で出てきます。

ただし1つ、Gitが守ってくれないものがあります。Gitが記録するのはコード・・・つまり"作る側"のファイルだけです。公開したアプリに利用者が入れたデータ(日記アプリの日記、記録アプリの記録)は、Gitの守備範囲の外にあります。コードは戻せても、データは戻せない。データにはバックアップ(別の場所に控えを取っておくこと)という別の備えが要ります。第2講の表にあった「消えたら戻せるか」の列は、実はコードとデータ、2つの質問だったのです。データの置き場所の話は第18講で続きをやります。


✍️ 手元で確かめる(5分)

"戻す"を、今日1回だけ体験します。

Gitがすでに使える人(AI向けの開発ツールを入れた人は、気づかないうちに使えることが多い)は、自分の一枚のフォルダで、下の質問例1をAIに貼って、記録→変更→戻す、の一往復を案内してもらってください。

Gitがまだ入っていない人は、今日は導入の準備までで構いません。質問例3を貼れば、自分のパソコンに合わせた確認と導入の手順を案内してもらえます。導入が済んだ日に、上と同じ一往復を。

どちらの場合も、ゴールは同じ光景です。ファイルを書き換えて、保存して、画面が変わったのを見てから・・・戻す操作ひとつで、書き換える前の状態が帰ってくる。この瞬間を一度見ると、コードを触る怖さが目に見えて減ります。


💬 AIへの質問例

そのまま貼って使えます。

  1. 「私は初心者で、Gitで『戻せる』を初体験したいです。このフォルダをGitの管理下に置き、いまの状態を記録し、試しに1箇所変えて、記録した状態に戻す・・・までを、1手順ずつ、確認方法つきで案内してください。フォルダの場所:(書く)」
  2. 「いまのプロジェクト(フォルダの場所を書く)で、前回の記録から何が変わっているか一覧にしてください。そのうえで、この変更を取り消す手順と、逆にこの変更を新しく記録する手順の、両方を教えてください」
  3. 「私のパソコンは(WindowsかMacか)です。Gitが入っているかどうかの確認方法と、入っていなかった場合の導入手順を、初心者向けに教えてください」

⚠️ やってはいけないこと

秘密情報を含むファイルを、履歴に入れること。

セーブポイントには、恐ろしい性質が1つあります。記録が丁寧に残るということは、消したつもりのものも履歴に残るということです。鍵を書いたファイルをうっかり記録し、後で気づいてファイルから鍵を消しても、履歴をさかのぼれば鍵は読めます。そしてリポジトリをネットに公開すれば、履歴ごと公開されます。金庫の中身を、過去の写真アルバムつきで公開するようなものです。

だからルールはこうなります。秘密は、最初から履歴に入れない。Gitには「このファイルは記録しない」と指定する仕組み(.gitignore という名前のファイル)があるので、導入したその日に、AIに「秘密を履歴に入れないための設定」を頼んでください。何を秘密として外に置くべきか・・・その本題は、次の第14講でやります。


📌 まとめ

  • 怖さの正体は失敗ではなく、取り消せないこと。Gitはコードのセーブポイント
  • 覚える本質は2つ。節目で記録する(コミット)、いつでも記録に戻れる
  • Gitが守るのはコードだけ。データにはバックアップ、秘密は最初から履歴に入れない