作ったものを公開しようと調べると、置き場所のサービス名が次々に出てきます。どれが良いのか、比較記事を読むほど分からなくなり、選べないまま公開が延びる。あるいは勢いで選んだ場所が高機能すぎて、月々の請求と設定の複雑さだけが残る・・・。
この講のゴールは、置き場所を人気や機能の多さで選ぶのをやめて、自分の作ったものの"性質"から逆算して選べるようになることです。
住まいにたとえます。
住まいには、ホテル・賃貸・持ち家という段階があります。ホテルは、何もしなくていい代わりに、できることが少ない。賃貸は、そこそこの自由と、そこそこの手間。持ち家は、完全な自由と、全部の責任。どれが偉いという話ではなく、手間と自由度の交換レートが違うだけです。
サイトやアプリの置き場所も、まったく同じ構図です。全部おまかせの場所は、できることが決まっている。自由な場所は、守る仕事(第3部でやった全部)を自分で背負う。だから「どこが一番人気か」ではなく、「自分の作ったものに、どれだけの自由度が必要か」から逆算します。
そのために、作ったものを3つに分類します。
3つ目だけ、特別な注意が要ります。データをためるものは、引っ越しが一段重いのです。見せるだけのページの引っ越しは、荷物を運べば終わります。でもデータを持つアプリの引っ越しは、利用者の大事な記録を、失わず、壊さず運ぶ作業が伴う。住民票ごと本宅を移すのと同じで、できないわけではないが、覚悟が要る。だから、データを持つものだけは、置き場所を選ぶ時点で「ここと長く付き合えるか」を一段真剣に考えてください。
第13講の「Gitはデータを守らない」も、ここにつながります。データをためる置き場所を選ぶことは、その保管庫の守り・・・バックアップの仕組みがあるかどうかを選ぶことでもあるのです。
自分の公開物と、これから作りたいものを、さっきの3分類に仕分けしてください。
書き方は簡単です。名前を書いて、横に「見せるだけ/処理あり/データあり」のどれかを書く。迷ったら、こう問うてください。「利用者が入れたものが、明日も残っている必要があるか」。残る必要があるなら、データありです。
仕分けができたら、いま検討している(または使っている)置き場所が、その分類に釣り合っているかを質問例1で確かめます。見せるだけのページのために、本宅を構えていないか。逆に、データを持つアプリを、ホテルに置こうとしていないか。釣り合いの確認までできたら合格です。
そのまま貼って使えます。
高機能な方式を選んで、維持できずに放置すること。
比較記事の上位に出てくるのは、たいてい「なんでもできる」方式です。それを選びたくなる気持ちは分かります。できないことがあるのは、不安だからです。でも思い出してください。第2講で、公開したものは飼うものだと言いました。高機能な置き場所は、部屋数の多い家です。掃除する部屋が増え、点検する設備が増え、請求も増える。使いこなせない自由度は、自由ではなく、ただの維持費です。
順番はいつも、小さく住んで、手狭になったら引っ越す。幸い、見せるだけ・処理ありのものは引っ越しが軽いので、最初の選択を多少間違えても取り返せます。重いのはデータだけ。そこにだけ、最初から本気を出してください。