AIにコードを作ってもらい、動かしてみたら、動いた。うれしい。公開した。
・・・この流れのどこに落とし穴があるか、指させるでしょうか。
「動いたから良し」。これが第2部でいちばん外したい癖です。動くことと、外に出していいことは、別の検査項目だからです。この講のゴールは、公開の前に4つの観点で点検する習慣を、自分の指に覚えさせることです。
車検にたとえます。
車は、走るかどうかだけでは公道に出られません。ブレーキは効くか、灯りはつくか、排気は基準内か。「走る」と「公道に出してよい」のあいだに、検査が一段挟まっています。運転がうまいかどうかとは無関係に、すべての車が受ける検査です。
コードの車検は、4つの観点でやります。
1つ目、鍵。APIキー(外部サービスを使うための鍵。この鍵を知っている人は、あなたの名義でそのサービスを使えます)やパスワードが、コードの中に直接書かれていないか。AIは「動くこと」を優先するので、例として鍵を直書きしたコードを平気で出してくることがあります。
2つ目、個人情報。自分や他人の名前、住所、メールアドレスが、テスト用のつもりでコードやデータに残っていないか。自分の一枚は自己紹介ページなので、むしろ「どこまで載せるかを自分で決めたか」が点検項目です。
3つ目、お金。そのコードが動くと、課金が発生する可能性はないか。有料のサービスを呼んでいないか、呼ぶ回数に歯止めはあるか。
4つ目、権利。ライセンス(他人製の部品についている利用条件)や、使っているサービスの規約に反していないか。他人の画像や文章を無断で借りていないか。
この4つ・・・鍵・個人情報・お金・権利には、共通点があります。どれも、問題があってもエラーが出ないことです。動作確認では絶対に見つからない。だから、動作確認とは別の検査として、意識的にやるしかないのです。
なお、鍵の正しい置き場所は第14講で、お金の歯止めは第20講で、それぞれ本編をやります。今日はまだ直せなくて構いません。見つける目を作るのが先です。
自分の一枚(公開物がある人はそちらを優先)を開いて、4観点の点検を1周してください。
自分の一枚なら、たぶん5分で終わり、たぶん何も出ません。それでいいのです。車検は、何も出ないことを確認する儀式です。この1周を、公開の前に必ず回す。回数を重ねると、コードを見た瞬間に危ない匂いが分かるようになってきます。
そのまま貼って使えます。
鍵を書いたまま、公開すること。
4観点の中で、いちばん速く、いちばん高くつく事故がこれです。鍵を直書きしたコードをそのまま公開し、短時間で第三者に拾われて、あなたの名義でサービスを使い倒され、身に覚えのない高額請求が届く。実際に、世界中で毎日起きている定番の事故です。
もう1つ、点検そのものについても釘を刺しておきます。AIに質問例1を投げて「問題ありません」と返ってきても、それで検査終了にしないこと。第3講の線引きを思い出してください。点検作業は任せていい。でも「公開してよい」という判断は、謝りに行く側・・・自分の仕事です。少なくとも、検索窓に「key」と打つ10秒の指差し確認だけは、自分の指でやってください。