「無料で床下を見せてください」・・・その一言から、高額な契約に持ち込まれるかもしれません


こんにちは。秋元進吾です。今日は、家の中でいちばん見えない場所、床下の話です。

ある日、知らない業者さんが訪ねてきて言います。「近くで工事をしているので、無料で床下を見せてもらえませんか」。断る理由もないし、無料ならと見せてあげたら、戻ってきた顔が、心なしか曇っている。「これは、ちょっとまずいですね」。

・・・ここまでがワンセットで来たら、いったん警戒したほうがいいかもしれません。

シロアリの点検商法は、外壁塗装の点検商法と、実はよく似た構造をしています。床下という「あなたが自分の目で確かめられない場所」を舞台に、まず不安をつくり、その不安の解消として契約を迫る。塗装が「壁の中」なら、シロアリは「床の下」。見えない場所を使う手口という意味では、兄弟のようなものです。

このガイドは、そんな手口に足をすくわれないための、発注する側の予習ノートです。


「無料点検」がなぜ成立するのか、そして本物のサインとの違い

まず知っておいてほしいのは、シロアリの点検そのものは、本来、無料で行えることが多い作業だということです。壁を壊すわけでも、薬剤を使うわけでもなく、床下にもぐって目で見て確認するだけ。業者さんにとっては、無料でも成り立つ営業活動になっています〔要確認〕。ここまでは、悪いことではありません。

問題は、その後です。「無料点検」を入り口に、床下という素人には確かめようのない場所で「これは大変です」と告げられると、私たちはその場で真偽を確認できません。専門家がそう言えば、大変な気がしてくる。これが、点検商法が成立してしまう理由です。

だからこそ、本物のシロアリ被害のサインを、少しだけでも知っておくといいと思います。

これらは、写真や動画で示してもらえば、ある程度は自分の目でも確認できるサインです。逆に言うと、写真も見せずに「大変なことになっています」とだけ言われたら、それは判断材料になっていません。

そして、いちばん覚えておいてほしい合言葉はこれです。「今すぐやらないと、この家は倒れます」・・・こう言われたら、いったん立ち止まってください。シロアリ被害は、多くの場合、その日のうちに家が傾くような速度では進みません。即決を迫る言葉は、比べさせないための言葉です。


費用の目安と、「5年保証」の意味

費用について、正直な相場感をお伝えします。シロアリ駆除の費用は施工面積や工法によって幅がありますが、1坪あたり6千円〜1万6千円程度、1平米あたりだと2千円台〜2千5百円程度が目安という情報が見られます〔要確認〕。延床30坪程度の一般的な戸建てだと、総額で15万円〜30万円程度が一つの目安と言われることが多いようです〔要確認〕。ここも塗装や給湯器と同じで、家の大きさや床下の状態、選ぶ工法によって変わるので、あくまで「幅」として捉えてください。

もうひとつ、必ず出てくるのが「5年保証」という言葉です。なぜ5年なのか。これは、シロアリ駆除に使う薬剤の効果が、おおむね5年程度で薄れていくとされているからです〔要確認〕。つまり5年保証とは「もう二度とシロアリが来ません」という意味ではなく、「薬剤の効果が続くとされる期間に被害が出たら、無料で再施工します」という約束に近いものです。5年経ったらまた薬剤散布が必要になる、というのが本来の仕組みだと理解しておくと、更新の提案が来たときにも慌てずに済みます。


良い駆除業者を見分ける5つのチェック

  1. 公益社団法人日本しろあり対策協会の会員か、しろあり防除施工士などの資格保有者がいるかを確認できる〔要確認〕
  2. 被害箇所を写真や動画で、その場で見せてくれる
  3. 見積書に「施工面積・工法(バリア工法かベイト工法か)・薬剤名・保証年数」が書いてある
  4. その場での契約を急がせない
  5. 点検結果を持ち帰ることを嫌がらず、相見積もりを歓迎する

頼み方3ステップ

  1. 点検してもらったら、被害箇所の写真をもらい、その場では契約しない
  2. 一度持ち帰り、可能なら別の業者にセカンドオピニオンを頼む
  3. 資格・協会加盟・保証内容を書面で確認してから契約する

訪問してきた業者さんとその場で契約してしまっても、契約書面を受け取った日から8日以内なら、原則として無条件で解約できます(特定商取引法のクーリングオフ)〔要確認〕。「もう契約しちゃったから」とあきらめる前に、まずはお住まいの地域の消費生活センターに相談してみてください。


まとめ|今日の「ひとつだけ」

長くなりました。最後に、これだけ持って帰ってください。

「今すぐやらないと」は、比べさせないための言葉。写真と見積書をもらって、一度持ち帰る。

今日の1アクション。もし訪問点検を受けたことがある、またはこれから受ける予定があるなら、「床下の写真、見せてもらえますか」と聞いてみてください。それだけで、その業者が「見せる気のある業者」か「言葉だけの業者」か、輪郭が見えてきます。

この安心ガイドシリーズは、これからも少しずつ増やしていく予定です。それでも、あなたの家が、床下の不安につけ込まれませんように。

それでは、また。


【免責事項】
本記事は、工事を依頼する方が業者選びの判断材料を得るための一般的な情報提供を目的としています。記載内容は執筆時点の情報に基づくもので、価格・相場・制度・資格の名称や要件は地域や時期によって変動します。実際の被害状況・工事内容・金額・契約条件は、必ず各業者の調査報告書および見積書・契約書面をご確認のうえ、ご自身の判断と責任でお決めください。本記事は特定の業者・団体・商品・サービスを推奨・保証するものではなく、本記事の利用により生じたいかなる損害についても著者は責任を負いかねます。

【出典】

著者:秋元進吾