こんにちは。秋元進吾です。今日は、実家や自分の家に和室がある方に向けて書きます。
チラシに、こう書いてあったとします。
「畳の表替え、1畳5,000円〜」
・・・安い、と思いますよね。でも、その「〜」のあとに何が続くのか、チラシの隅までちゃんと読んだ人は、実はあまりいません。
畳の張替えには、実は「裏返し」「表替え」「新調」という3段階があって、値段も内容もまったく別物です。この違いを知らないまま電話をかけると、「5,000円のつもりが、気づけば数万円」という展開になりがちです。今日は、そこを整理します。
畳は、ふだん見慣れているようで、実は仕組みを知らない工事の代表です。
畳1枚は、土台になる「畳床」と、表面のい草のゴザ「畳表」、縁につける布の「畳縁」の3つでできています。この3つのうち、どこまで新しくするかで、工事の名前も値段もまったく変わります。
目安として、裏返しは新調から3〜5年、表替えはそこからさらに4〜7年、新調は10〜15年でひとまわり、というサイクルで語られることが多いようです〔要確認〕。「裏返し→表替え→新調」の順で、少しずつ本格的になっていくイメージです。
ここを知らないと、電話口で「裏返しでいいですか、表替えにしますか」と聞かれても、何を選ばされているのか分からないまま「はい」と答えることになります。チラシの「1畳5,000円〜」が、実はいちばん簡素な裏返しの値段だった、ということも起こり得るわけです。
もうひとつ。畳表そのものにも、産地とグレードがあります。い草の産地(国産・海外産)や、糸の本数、織り方の密度によって、同じ「表替え」でも仕上がりと耐久性が変わります。ここも、見た目だけでは素人には判別しにくいところです。
金額は家の広さ・畳の枚数・選ぶ畳表のグレードで大きく変わるため、以下はあくまで目安の幅として見てください〔要確認〕。
チラシの「1畳◯◯円〜」は、たいてい、いちばん安いグレードの畳表・いちばん手間のかからない工程を指しています。「〜」の先に何が隠れているかを知っているだけで、ずいぶん冷静に話を聞けるはずです。
①グレードを、値段と一緒に見せてくれる
「表替え5,000円」だけでなく、「これは並級、これは上級でこの値段」と選択肢を並べて見せてくれるお店は、誘導する気がないお店です。
②畳床の状態を、先に見てくれる
表替えでいいのか、実は新調が必要な傷み具合なのか。畳を上げて床の状態を見てから提案してくれるかどうかは、大きな分かれ目です。
③産地・素材をはっきり答えられる
「この畳表はどこの産地ですか」と聞いて、即答できる店は、仕入れに自信がある店です。
④採寸をちゃんとする
和室は部屋ごとに畳のサイズが微妙に違うことがあります。目分量ではなく、実際に採寸してから見積もりを出すお店を選んでください。
⑤「今日だけ」を言わない
訪問して、その場で契約を急がせる店より、持ち帰って考える時間をくれる店のほうが、長く付き合えます。
この5つのうち、せめて「グレードを隠さない」だけは、最低限外さないでほしいところです。
ステップ1:畳の状態を、自分でも見ておく
表面の色あせ・すり切れ・へこみ・ダニやカビのにおいの有無を、軽くチェックしておきます。これだけで、電話口での説明がぐっと具体的になります。
ステップ2:裏返し・表替え・新調のどれが希望か、先に伝える
「とりあえず一番安い方法で」なのか「長く使いたいのでしっかりめで」なのか、希望を先に伝えると、話がかみ合いやすくなります。
ステップ3:2〜3店から見積もりを取り、グレードをそろえて比べる
同じ「表替え」でも、グレードが違えば値段は当然違います。「並級同士」「上級同士」で比べる意識を持つと、相見積もりの意味が出てきます。
長くなりました。最後にひとつだけ持って帰ってください。
畳は「裏返し・表替え・新調」で、値段も中身もまったく別物。チラシの金額が、そのどれの値段なのかを、まず確認する。
今日の1アクションです。もし家に和室があるなら、畳を軽くめくって(無理のない範囲で)、裏側や縁の傷み具合を眺めてみてください。それだけで、次に業者さんと話すときの解像度が変わります。
それでは、また。
【免責事項】
本記事は、畳・襖・障子の張替えを依頼する方が業者選びの判断材料を得るための一般的な情報提供を目的としています。記載した価格・相場は執筆時点で参照した公開情報をもとにした目安であり、実際の金額は畳のサイズ・グレード・地域・業者によって変動します。正確な金額は、必ず業者から取り寄せた見積書でご確認ください。本記事は特定の業者・商品・サービスを推奨・保証するものではなく、本記事の利用により生じたいかなる損害についても著者は責任を負いかねます。
出典:
著者:秋元進吾