
更新しました(2026年9月26日) 挿絵を入れました
こんにちは。秋元進吾でございます。今日は、このシリーズの中でも、いちばん姿勢を正してお届けする回です。電気工事。
最初に、はっきりお伝えします。
この回だけ、「見積もりの見方」よりも先に、見てほしいものがあります。それは・・・その人が、資格を持っているかどうかです。
ホームセンターに行くと、コンセントもスイッチも、ふつうに売っています。だから「これくらい、誰でも付けられそう」と思ってしまう。でも実は、コンセントやスイッチの交換・増設は、法律で電気工事と定められていて、国家資格(電気工事士)を持つ人でないと、やってはいけない作業なんです。
なぜ、そこまで厳しいのか。理由はひとつ。命に関わるからです。電気は目に見えません。配線をひとつ間違えれば、感電。被覆(ひふく→電線を覆う絶縁体)の処理が甘ければ、数ヶ月後に漏電して、火災。電気火災は、住宅火災の原因の上位に入り続けています。
だから今日は、「だまされない(お金)」よりも前に、「危なくない(命と家)」を一番に置きます。専門用語は、ぜんぶかみ砕きますね。
このガイドは、かつての自分に渡したかったメモを、そのままお裾分けするものです。
これまでの6回は、「下地が見えない」「内訳が見えない」という話でした。電気工事には、それに加えて、もう2つの特殊な事情があります。
1つめ。「できそうに見える」のに、法律で禁止されている。
材料がホームセンターで買えるので、つい「自分でも、無資格の便利屋さんでも、いけそう」と思ってしまう。でも、配電盤からコンセントまでの屋内配線も、コンセント・スイッチの交換や増設も、ぜんぶ電気工事士の資格が必要な作業です。無資格の人がやれば、それは違法。電球の交換や、インターホン(ごく低い電圧のもの)の配線くらいしか、資格なしでできることはありません。

2つめ。失敗が、数ヶ月後に「火災」という形で出る。
塗装やクロスの手抜きは、剥がれや継ぎ目で済みます。でも電気の手抜きは、漏電・ショート(短絡)から、火事につながることがある。しかも、配線は壁の中に隠れるので、ふだんは見えません。気づいたときには、壁の中で熱を持っている・・・そんな怖さがあるんです。
そして、いちばん知っておいてほしいこと。無資格の違法工事が原因で火災や事故が起きた場合、火災保険や生命保険が下りないことがあります。 安い無資格業者に頼んだ結果、火事になって、保険も使えない。これが、電気工事で一番避けたい結末です。
他業種の「手口」とは、少し毛色が変わります。電気で警戒すべきは、まず「資格と登録がはっきりしない相手」です。
①「便利屋」「なんでも屋」が、電気もまとめて請ける
「ついでに電気もやっときますよ」。その人、電気工事士の資格を持っていますか? なんでも屋さんがすべて無資格というわけではありませんが、電気だけは「資格の確認」を省いてはいけません。
②資格証・登録番号を、見せたがらない
ちゃんとした業者なら、聞けば資格を示せます。はぐらかす・嫌がる相手は、その時点で候補から外していい合図です。
③「一式」で、分電盤や容量の話が出てこない
たとえばエアコンや IH を増やすとき、家全体の電気の容量(アンペア)が足りるか、分電盤(ぶんでんばん→各部屋へ電気を分ける装置)に空きがあるか・・・本来そこを診るはずが、「一式」で済ませて触れない業者は、診断が雑な可能性があります。
④急がせる/極端に安い
電気の適正工事には、資格者の手間も、安全のための部材もかかります。極端な安さは、どこか(資格・部材・手順)を削っているサインかもしれません。
電気だけは、チェックの順番が違います。1番と2番が、何よりも先です。
1.【最優先】「電気工事士」の資格を持つ人が施工する
一般住宅なら、第二種電気工事士以上。聞けば資格を示せるか。ここは、安さより・早さより、先に確認してください。
2.【最優先】会社として「電気工事業者登録」をしている
電気工事を業として行う会社・個人は、国(都道府県知事や経済産業大臣)への登録が必要です。登録番号を確認できる業者は、それだけで信頼の土台があります。
3. 見積書の内訳(材料・手間・部材)が割れている
ここからは、これまでと同じ。「一式」だらけでないか。
4. 分電盤・容量(アンペア)を、ちゃんと診る
増設するなら、家全体の容量で足りるか。ここを診て説明してくれるか。
5. 保証と、損害賠償保険の有無
万一の事故・不具合に備えて。電気は特に、ここが大事です。
6. 現地調査をして、配線ルートや既存の状態を確認する
パッと見で値段を出さず、きちんと診るか。
7. 相見積もりを嫌がらない/急がせない
比較を歓迎する業者を。
くり返します。3〜7が全部よくても、1と2が確認できない相手は、選ばないでください。 電気だけは、そこが命綱です。

電気工事の費用は、作業内容(コンセント増設・スイッチ交換・配線・分電盤交換など)・部材・地域でまるで変わります。だから「いくらが正解」とは言えません。
そのうえで、読み方はシンプルです。
なお、無資格工事には法律上の罰則も定められていますが、発注する私たちにとって本当に怖いのは罰則より、火災・感電と、保険が下りないことです。だからこそ、金額の前に資格、なんですね。
ここまで読んで、こう思った方。
「資格に・登録に・分電盤に・・・正直、自分でぜんぶ確かめるの、ハードル高ない?」
・・・ですよね。わかります。特に電気は、間違えたときの怖さが大きいぶん、なおさら。
実は僕、この記事とまったく同じ考え方を、職人さん側にもお伝えしています。「お客さんには、資格も登録番号も、容量の話も、ぜんぶ正直に示しましょうね」と、配布資料の形で。隠さず言いますね。僕は、発注する人と、職人さんの、両方に同じ知識を渡している人間です。
そのうえで、この記事と同じ姿勢で仕事をする、資格と登録のある信頼できる職人さんを、おつなぎする仕組みを、いま準備しています。紹介でお金をいただくことはしません(あなたからも、職人さんからも)。気になる方だけ、そっとお問い合わせ(contact@akimo10shin5.com)からどうぞ。LINEの窓口も、近いうちに開けますね。
電気だけは、安さより先に「資格」を見る。無資格の安い工事は、火事になっても保険が下りないことがある。
そして、今日の1アクション。
次に電気工事を頼むとき(コンセント増設・エアコン用電源・スイッチ交換など)、見積もりや契約の前に「電気工事士の資格をお持ちですか?」と、ひとこと聞いてみる。
この一問に、すっと「第二種です」と答えられるか、はぐらかすか。それだけで、その業者さんが安心して任せられる相手か、けっこう見えてきます。聞くだけなら、タダですよね。やってみませんか。
これで「工事をプロに頼む前に読む 安心ガイド」、7本がそろいました。残るは測量編、1本。土地と境界の、少し特別な回になります。つまんなかったら、そっと閉じてもらって大丈夫です。それでも、あなたのお家が、火事とも感電とも、ずっと無縁でありますように。
それでは、また。
【免責事項】
本記事は、工事を依頼する方が業者選びの判断材料を得るための一般的な情報提供を目的としています。記載内容は執筆時点の情報に基づくもので、価格・相場・制度・法令は地域や時期によって変動します。電気工事は感電・火災の危険を伴い、法律で資格者による施工が義務づけられています。必ず電気工事士の資格と電気工事業者登録のある専門業者にご依頼ください。実際の工事内容・金額・契約条件は、各業者の見積書および契約書面をご確認のうえ、ご自身の判断と責任でお決めください。本記事は特定の業者・商品・サービスを推奨・保証するものではなく、本記事の利用により生じたいかなる損害についても著者は責任を負いかねます。
著者:秋元進吾