「もうベッドも車いすも、買うしかないのかな」・・・その前に、知ってほしい話があります


こんにちは。秋元進吾です。今日は、介護ベッドや車いす、住宅の手すりなどを考え始めたご家族に向けて、そっとお届けします。

実家に帰ったとき、お母さんが布団から起き上がるのに、思った以上に時間がかかっていませんでしたか。廊下の暗がりで、お父さんが壁に手をついて歩いていませんでしたか。「そろそろベッドにしたほうがいいのかな」「お風呂に手すり、つけたほうがいいよね」・・・家族でそんな話が出たものの、いざ金額を調べてみると、ベッド一式で何十万円、リフォームとなるとさらに桁が変わりそうで、そのまま話が止まってしまう。そんな経験はないでしょうか。

実は、介護ベッドや車いす、手すりの多くは「買う」ものではなく「借りる」ものです。しかも、住宅の改修についても、費用の一部を支援してくれる制度があります。私も調べていて、「そんな仕組みがあったのか」と驚くことが多かったので、頼む側の目線で、順番にご案内させてください。

このガイドは、専門家ぶるための記事ではありません。かつての、何も分からなかった自分に渡したかった予習ノートを、そのままお裾分けします。


福祉用具は「買う」前に「借りる」が基本です

介護ベッド、車いす、手すり、歩行器・・・こうした福祉用具の多くは、介護保険を使って「レンタル」できます。これを「福祉用具貸与」と呼びます。

まず知っておいてほしいのは、レンタルの対象になる品目と、購入の対象になる品目が分かれている、ということです。

なぜ入浴や排せつまわりの用具だけ「購入」になるかというと、他の人が使ったものをそのまま再び使うことに、衛生面での抵抗があるからだとされています〔要確認〕。「なぜこれはレンタルできないんだろう」と迷いやすいところなので、先に知っておくと安心です。

もうひとつ、心強い存在があります。それが「福祉用具専門相談員」という職種です。介護保険で福祉用具を扱う事業所には、この専門相談員を置くことが決まっています。ご本人の体の状態や、家の中の動線を見たうえで、「この用具が合っていますよ」と一緒に選んでくれる人だと考えてください。何を借りればいいか分からない、という段階でも、まずは相談していい相手です。

そして、もうひとつ知っておいてほしいのが、ベッドや車いすだけでなく「家そのもの」に手を入れる住宅改修にも、介護保険の支援があるということです。手すりの取り付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更、和式トイレから洋式トイレへの取り替えなどが対象になります。

ここで、いちばん注意してほしいことをお伝えします。住宅改修は、工事を始める前に申請するのが原則です〔要確認〕。「先に工事してしまって、あとから申請すればいい」は通用しません。工事前に、担当のケアマネジャーを通じて、市区町村へ申請書類を出す。この順番を守らないと、支援を受けられなくなることがあります。


費用・自己負担の目安〔要確認〕

お金の話です。ここも絶対の金額があるわけではなく、ご本人の所得や、選ぶ用具、工事の内容によって変わります。「目安の幅」としてお伝えします。

福祉用具のレンタルは、ご本人の自己負担割合(1割から3割)に応じた分だけの支払いになります〔要確認〕。所得が一定以下であれば1割負担のことが多く、レンタル料自体、購入するよりずっと少ない負担で済むことがほとんどです。

住宅改修は、支給される金額に上限があります。上限は20万円で、そのうち自己負担割合(1割から3割)を除いた分が支給される仕組みです〔要確認〕。たとえば1割負担の方なら、20万円分の工事をしても、実際の持ち出しはおよそ2万円程度で済む計算になります〔要確認〕。上限額までは、複数回に分けて使うこともできるとされています〔要確認〕。

支払い方法にも種類があり、いったん全額を支払って後から戻ってくる「償還払い」と、最初から自己負担分だけを支払えばよい「受領委任払い」があります。どちらになるかは自治体によって異なります〔要確認〕。

金額を見るときのコツは、レンタルも住宅改修も、「見積もりと申請の段階で、自己負担がいくらになるかをはっきり確認すること」です。良い事業者ほど、ここを先に、あいまいにせず教えてくれます。

制度の詳しい条件や金額は、地域や時期によって変わります。実際に利用する際は、必ず担当のケアマネジャーやお住まいの自治体の窓口に確認してください。


良い福祉用具の事業者さんの見分け方・5つ

家の中まで見てもらう相手だからこそ、選ぶときの目線を持っておくと安心です。次の5つを、相談や見積もりのやりとりで見てください。

  1. 福祉用具専門相談員が対応しているか。資格や役割を、自分から名乗れるか
  2. ご本人の体の状態や、家の中の動線を実際に見たうえで用具を提案してくれるか。カタログだけで決めようとしないか
  3. レンタル料金と、自己負担の割合を、契約前にはっきり示してくれるか
  4. 住宅改修の場合、「工事前の申請が必要」という順番を、最初にきちんと説明してくれるか
  5. 体の状態が変わったときに、用具の交換や見直しに、いやな顔をせず応じてくれるか

「とりあえずこれで大丈夫です」と、状態をよく見ないまま用具を決めようとする相手は、いったん距離を置いていい合図だと思ってください。


頼み方は、たった3ステップ

実際にどう動けばいいのか、入口はシンプルです。

  1. 担当のケアマネジャーに、「ベッド(または車いす、手すり)を検討している」と伝える。まだ介護保険の認定を受けていない場合は、地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)に相談する
  2. ケアマネジャーから紹介された福祉用具の事業所に、実際に自宅へ来てもらい、体の状態や家の中を見ながら提案を受ける
  3. 住宅改修を考えている場合は、工事を始める前に、ケアマネジャー経由で申請の段取りを確認する〔要確認〕

迷ったら、まずは1番のケアマネジャーへの相談から。用具のレンタルも住宅改修も、ケアマネジャーが作る介護の計画(ケアプラン)に位置づけて進めるのが基本です。ご家族だけで抱え込まず、まずはこの相談から始めてください。


まとめ・・・「買うしかない」と思い込まなくていい

長くなりました。最後に、これだけ持って帰ってください。

介護ベッドも車いすも手すりも、いきなり大きな買い物をしなくていい選択肢があります。借りる、支援を受けて改修する。どちらも、ご本人の体の状態が変わればまた見直せる、柔軟な仕組みです。

今日の1アクションは、これだけです。

次にケアマネジャーさんと話す機会があったら、「ベッドや車いす、手すりのこと、うちも相談していいですか?」と聞いてみませんか。まずは選択肢があることを、ご家族みんなで知ることから始めてみてください。

それでは、また。ご家族の毎日が、少しでも安全で、楽になりますように。


【免責事項】
本記事は、福祉用具のレンタル・購入や住宅改修の利用を検討するご家族・ご本人が判断材料を得るための、一般的な情報提供を目的としています。記載内容は執筆時点の情報に基づくもので、対象品目・自己負担割合・支給限度額・申請の手続きは、地域や時期、制度改定、ご本人の条件によって変わります。本記事は特定の用具や改修による効果を保証するものではありません。実際にご利用の際は、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員、およびお住まいの自治体に必ずご確認のうえ、ご自身の判断と責任でお決めください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、著者は責任を負いかねます。

【出典】

著者:秋元進吾