「もう歩くのもしんどくて」・・・その一言に、家でできるケアがあります

更新しました(2026年9月26日) 挿絵を入れました

いすから立ち上がろうと両膝に手をつく人の後ろ姿を、施術者がひざをついて膝と背中に手を添えて支えている。

こんにちは。秋元進吾です。今日は、外に出るのが難しくなったご家族のいる方に向けて、そっとお届けします。

久しぶりに実家へ帰ったとき、こんな場面はなかったでしょうか。

お父さんが、立ち上がるのにひと苦労している。「膝が固まっちゃってね」と笑うけれど、前より動きがぎこちない。病院のリハビリも、通うだけで一日仕事。「もういいよ、家でじっとしてるから」と言われて・・・その「もういいよ」を、そのままにしていいのかな、とモヤッとする。

実は、施術者のほうから家に来てくれる「訪問マッサージ」という仕組みがあります。しかもこれは、街のもみほぐしとは別物で、国家資格を持った人が行い、条件が合えば医療保険を使える、れっきとした制度でした。私も調べていて「そうだったのか」と思うことが多かったので、頼む側の目線で、順番にご案内させてください。

このガイドは、専門家ぶるための記事ではありません。かつての、何も分からなかった自分に渡したかった予習ノートを、そのままお裾分けします。


訪問マッサージとは・・・「来てくれる国家資格の施術」です

訪問マッサージとは、寝たきりや歩行が難しいなどで通院できない方のご自宅や施設に、施術者が出向いて、あん摩・マッサージ・指圧を行うサービスのことです。

ここで、いちばん大事なところを先にお伝えします。

この施術ができるのは、「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格を持った人だけです。国家試験に合格して免許を受けた人の仕事で、街でよく見かける無資格の「リラクゼーション」「もみほぐし」とは、法律上の立場がはっきり違います。

見た目には、どちらも体をほぐしてくれるので、同じように見えるかもしれません。でも、

左はくつろぐリクライニングチェアとアロマの部屋、右は施術者の両手がベッドで膝を支える。

この違いが、料金にも、頼み方にも、あとで効いてきます。ご本人やご家族が「マッサージ屋さんね」と受け取っていると、この差が見えにくいので、最初にここだけ押さえておいてください。

なお、はり・きゅうは、また別の国家資格(はり師・きゅう師)になります。マッサージだけをお願いするのか、鍼灸も一緒にお願いするのかで、必要な資格や保険の扱いが変わることがあります〔要確認〕。


医療保険で受けるには・・・「医師の同意書」がカギになります〔要確認〕

訪問マッサージのいちばんの特徴が、条件を満たせば健康保険を使って受けられる、という点です。この仕組みを「療養費」と呼びます〔要確認〕。

ただ、誰でもすぐ保険で受けられる、というものではありません。入口に、ひとつだけ関門があります。それが「医師の同意書」です。

流れをざっくり並べると、こうなります〔要確認〕。

  1. かかりつけ医や主治医に、マッサージを受けたいと相談する
  2. 医師が「この方には医療上マッサージが必要」と認めれば、同意書を出してくれる
  3. その同意書をもとに、施術者が保険を使った訪問を始められる
  4. 同意書には有効期間があり、続けるには一定期間ごとに医師の再同意が必要とされています
医師と家族の相談から同意書の封筒が渡され、訪問した後にカレンダーがめくれて再び医師へ戻る円環になっている。

同意書は、いわば処方箋のような書類だと考えると分かりやすいです。「マッサージを受けることが、この方の体にとって必要ですよ」という、お医者さんのお墨付き。だから、勝手に保険で始めることはできず、必ず医師が間に入ります〔要確認〕。

対象になりやすいのは、診断名で一律に決まるわけではなく、筋肉のまひや、関節が固まって動きにくいなど、医療上マッサージが必要と判断される状態とされています〔要確認〕。脳血管の病気の後遺症、パーキンソン病、骨折のあと、長く寝ている時間が続いての筋力低下などが、例として挙げられます。

ここで正直にお伝えしておきたいことがあります。マッサージで病気が治る、と断定できるものではありません。目的は、動きにくさをやわらげたり、生活のしやすさを支えたりすること。効果の感じ方には個人差がありますし、続けるかどうかは、ご本人の様子と主治医の判断を軸に決めていくものだと考えてください。

同意書や保険の使い方は、地域や制度改定でこまかく変わる部分です。「うちの場合はどうなるのか」は、必ず主治医と、あとで触れるケアマネジャーに確認するのが確実です。


料金・自己負担の目安・・・保険を使うと1回数百円のことも〔要確認〕

いちばん気になる、お金の話です。

先にお断りしておくと、金額そのものに絶対の正解はありません。保険を使うか自費で受けるか、体のどの部位を何か所ほぐすか、訪問先までの距離はどれくらいか・・・こうした条件で変わるからです。ここでは「目安の幅」としてお伝えします。

保険(療養費)を使う場合、窓口でのお支払いは、ご本人の自己負担割合(1割から3割)に応じた分だけになります。負担が1割の方だと、1回あたりおおむね数百円台(目安として300円から600円台)とされることが多いようです〔要確認〕。残りは施術者が保険者へ請求する仕組みで、家計から一度に大きく出ていくものではありません。

保険を使わない自費でお願いする場合は、20分から30分でおおむね3,000円から5,000円ほどに、出張費が加わるのが一つの目安です〔要確認〕。

金額を見るときのコツは、街の塗装や修理と同じで、「一式いくら」で受け取らないことです。保険が使えるのか、使えるなら自己負担はいくらか、出張費は別なのか込みなのか。ここを最初に、はっきり聞いておく。良い施術者ほど、この説明をいやがりません。

料金・保険・自己負担は、制度改定や地域、ご本人の条件で変わります。実際の金額は、必ず事前に見積もりとして確認してください。


良い施術者さんの見分け方・5つ

家に上がってもらう相手だからこそ、選ぶときの目線を持っておくと安心です。難しい知識はいりません。次の5つを、電話や初回のやりとりで見てください。

  1. 国家資格(あん摩マッサージ指圧師)であることを、自分から名乗れるか。リラクとの違いを、短く正確に説明できる人は信頼の一歩目です
  2. 保険(療養費)を使う流れと、同意書の段取りを、こちらの言葉に合わせて説明してくれるか
  3. 料金が、範囲まで含めて明朗か。自己負担分・出張費・自費の場合の金額を、あとから追加が出ないよう先に示してくれるか
  4. 衛生管理を、自分の言葉で説明できるか。タオルや器具の扱い、感染症への配慮を、すっと答えられるか
  5. その日の体調に合わせた変更やキャンセルに、快く応じてくれるか。体調を最優先にしてくれる姿勢があるか

全部が満点でなくても大丈夫です。でも、「保険で必ず治る」と断定してきたり、資格や料金の説明をぼかしたりする相手は、いったん距離を置いていい合図だと思ってください。


頼み方は、たった3ステップ

では、実際にどう動けばいいのか。入口はとてもシンプルです。

  1. 担当のケアマネジャー(介護の計画を立てる専門職)に、「訪問マッサージを頼みたい」と伝える。まだ介護保険の認定を受けていない場合は、地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)に相談する
  2. かかりつけ医や主治医に、マッサージを受けたい旨を相談し、同意書を出してもらえるか確認する〔要確認〕
  3. 初回はできればご家族が同席して、施術者との相性や、料金・段取りの説明を一緒に確認する

順番に迷ったら、まずは1番のケアマネジャーへの相談から。ケアマネジャーは医療機関ともつながっているので、同意書の話や、地域で実績のある施術者の情報まで、まとめて相談に乗ってもらえることが多いです。相談そのものは、多くの場合、費用がかかりません。

訪問マッサージは、この「ケアマネジャーと主治医との連携」が生命線です。ご家族だけで抱え込まず、この二人を味方につける。それが、いちばん確実で、いちばん安心な進め方です。


まとめ・・・「もういいよ」の奥にあるもの

長くなりました。最後に、これだけ持って帰ってください。

「もういいよ、家でじっとしてるから」は、本心とはかぎりません。体が動かしにくいのを、あきらめの言葉にしているだけかもしれない。家にいながら、国家資格を持った人にケアしてもらえる選択肢がある、と知るだけでも、気持ちは少し軽くなります。

今日の1アクションは、これだけです。

次にケアマネジャーさんと話す機会があったら、「訪問マッサージって、うちでも使えますか?」と聞いてみませんか。合わなければ、やめればいいだけです。まずは選択肢があることを、ご本人に、そっと届けてあげてください。

それでは、また。あなたのご家族の毎日が、少しでも楽になりますように。


【免責事項】
本記事は、訪問マッサージの利用を検討するご家族・ご本人が判断材料を得るための、一般的な情報提供を目的としています。記載内容は執筆時点の情報に基づくもので、料金・自己負担・医療保険(療養費)・医師の同意書の運用・対象範囲は、地域や時期、制度改定、ご本人の条件によって変わります。本記事はマッサージによる特定の医療効果や治癒を保証するものではありません。実際にご利用の際は、主治医・担当ケアマネジャー・各施術者、およびお住まいの自治体や保険者に必ずご確認のうえ、ご自身の判断と責任でお決めください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、著者は責任を負いかねます。

【出典】

著者:秋元進吾