車のカリキュラム第18講 任意保険という命綱
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車のカリキュラム / 第4部 維持編

第18講 任意保険という命綱

「任意」という名前だが、実質は必須

この講は、このカリキュラムの中でいちばん削ってはいけない話です。 車の事故は、自分の生活だけでなく、他人の人生にも関わります。 保険料は維持費の中で大きな割合を占めますが、ここを削って浮かせるお金は、 もしものときに払えない金額に化けます。仕組みを知って、必要なものを選べるようになりましょう。

01自賠責だけでは、まったく足りない

車には、加入が義務づけられた自賠責保険があります。車検のときに一緒に払っているので、 「保険には入っている」と思っている人がいます。でも、これは大きな誤解です。

自賠責保険(義務)任意保険
対象相手のけが・死亡のみけが・死亡に加えて、相手の車や物、自分の車、自分のけがも
上限金額の上限が決まっている無制限に設定できる
相手の車の修理対象外対象(対物賠償)
壊した建物や設備対象外対象(対物賠償)
自分の車対象外対象にできる(車両保険)
自分や同乗者のけが対象外対象にできる(人身傷害など)

想像してみてください

交差点で出会い頭にぶつかり、相手が大けがをした。相手の車は大破。 さらに、はずみで店舗のシャッターと看板を壊した。 自賠責でまかなえるのは、このうち相手のけがの一部だけです。 残りはすべて自分で払うことになります。 任意保険は「任意」という名前ですが、実質的には必須だと考えてください。

02補償は6つの部品でできている

保険の証券を見ると項目が並んでいますが、大きくは6つです。

部品誰・何を守るかおすすめの考え方
対人賠償相手のけが・死亡無制限。ここを削る理由はありません
対物賠償相手の車、建物、設備、線路など無制限。高額になる例が現実にあります
人身傷害自分と同乗者のけが(過失に関係なく)入っておきたい。治療費と収入の補償になります
搭乗者傷害乗っている人のけが(決まった金額を支払う形)人身傷害と役割が重なる部分があります
車両保険自分の車付けるかどうかは判断が分かれます(次章)
特約弁護士費用、レンタカー、ロードサービスなど使う場面を想像して選ぶ
📊 図解㉘ 任意保険の組み立て(A3横1枚)
6つの部品が誰を守るのかを図で示し、選び方の判断基準を並べました。等級の仕組みと、事故で保険を使うべきかの目安も入れています。

03対人・対物は無制限が基本

保険料を抑えたいとき、上限額を下げれば安くなります。でも、対人と対物だけはやめてください。

賠償の金額は、こちらの都合では決まりません。 相手が働き盛りの人だったら、高価な車だったら、壊したのが線路や信号だったら。 上限を超えた分は、自分の財産から払うことになります

無制限にしても、上限を設けた場合との保険料の差は、思ったほど大きくありません。 ここは迷わず無制限を選んでください。この講で伝えたいことの半分は、この一点です。

04車両保険を付けるかどうか

ここは判断が分かれる部分です。判断のものさしを渡します。

付けたほうがよい場合

  • ローンが残っている(壊れても支払いは続きます)
  • 新しい車、または高価な車
  • その車が壊れたら、すぐに買い直す資金がない
  • 運転に慣れていない
  • 雪や災害のリスクがある地域

外す判断もありうる場合

  • 車の価値が下がっていて、保険金額が小さい
  • 壊れたら買い替えられる貯蓄がある
  • 保険料が高く、数年分で車が買えてしまう

判断のしかた

車両保険の年間保険料 × 乗る年数と、その車の価値を比べてください。 前者が後者を超えるなら、外す判断にも合理性があります。 ただし、ローンが残っている間は別です。車がなくなっても支払いは残るからです。

05等級の仕組み

等級とは、事故の有無によって保険料の割引率が変わる仕組みです。 無事故を続けると等級が上がり、保険料が下がります。事故で保険を使うと等級が下がります。

状況等級の動き
1年間、保険を使わなかった1つ上がる。割引が大きくなる
事故で保険を使った種類によって3つ下がる、または1つ下がる
等級が下がったあと数年間、割引が小さい状態が続きます

小さな傷で保険を使うべきか

使うと等級が下がり、そのあと数年間、保険料が高い状態が続きます。 つまり修理代より、その後に増える保険料の合計のほうが大きくなることがあります。 修理代が小さい場合は、自分で払ったほうが得になる場面があります。 事故のとき、保険会社に「使った場合と使わなかった場合の差額」を聞いてください。教えてもらえます。

0618歳の保険料が高い理由

免許を取ったばかりの人の保険料は、驚くほど高くなります。理由は明確です。 統計として、若い年齢層の事故の割合が高いからです。

保険は、同じリスクを持つ人たちで負担を分け合う仕組みです。 事故の起きやすさが高い層は、その分だけ負担が大きくなります。 これは個人が責められている話ではなく、統計にもとづく仕組みの話です。

抑えるための現実的な方法

そして何より、無事故を続けることが最大の節約です。 等級が上がるほど保険料は下がっていきます。数年続ければ、はっきり差が出ます。

07見直しのタイミング

今日、ひとつだけ

家にある保険の証券を出して、対人賠償と対物賠償の欄を見てください。 「無制限」と書いてありますか。書いてあれば安心です。 金額が入っていたら、次の更新で無制限にできるか確認してください。 持っていない人は、家族に見せてもらってください。読み方が分かるだけで、大人になったときに困りません。

出典と注記