車のカリキュラム第23講 次の一台は、もう選べる
🗺 目次
車のカリキュラム / 第5部 出口編

第23講 次の一台は、もう選べる

出口から逆算する、という買い方

ここまで22の講を通ってきました。知る、選ぶ、買う、持つ、手放す。 そして手放したあと、また次の1台を選ぶところに戻ってきます。 この円を一周した人は、もう最初の人とはちがいます。 最後の講では、一周したことで何ができるようになったのかを確かめます。

01一周した、ということ

第1講で、車の形は用途から生まれたという話をしました。 第7講で、自分の使い方を数字にしました。第10講で、個体の見方を覚えました。 第15講で払い方の構造を知り、第17講で維持費の全体像をつかみ、第22講で査定の見方を知りました。

これらは、ばらばらの知識ではありません。全部つながって、ひとつの輪になっています

輪になっている、という意味

手放すときの金額は、買うときのグレードと色で決まっていました(第6講)。
維持費の大きさは、選んだ車の排気量とタイヤの大きさで決まっていました(第17講・第20講)。
いい店に出会えるかどうかは、こちらが何を聞けるかで決まっていました(第13講)。
出口で起きることは、すべて入口で決まっている。これが、この23講でいちばん伝えたかったことです。

📊 図解㉝ 車えらび総まとめマップ(A3横1枚)
全5部23講を1枚に。知る→選ぶ→買う→持つ→手放す→また選ぶ、の輪と、各段階で使う図解の番号を入れました。この1枚があれば、必要なときに必要な講へ戻れます。

02出口から逆算する買い方

一周した人にできるようになるのが、これです。手放すときのことを考えて、買う

買うときの判断出口でどう効くか
台数の多い車種を選ぶ部品が安く、整備先が多く、中古の需要も安定する
売れ筋のグレードを選ぶ手放すときに買い手が見つかりやすい
白か黒を選ぶ査定で有利になりやすい(ただし好きな色が第一)
メーカーオプションを厳選するあとから付けられないぶん、付いている車は評価される
記録簿を残す費用ゼロで、数年後にお金になる
乗る年数を先に決める払い方(第15講)も、車両保険(第18講)も、この前提で決まる

ただし、順番は変わりません

第6講で書いたとおりです。優先順位は、1に使い方、2に好み、3に数年後の値段。 逆算はあくまで3番目の話です。売るときのために好きでもない車を買うのは、本末転倒です。 その車に乗るのは、これからの数年間のあなたなのですから。

031台目の経験を、条件に翻訳する

2台目を選ぶとき、いちばん強い材料は、実際に乗った経験です。 ただし、経験を感想のままにせず、条件の言葉に翻訳する必要があります。

感想条件に翻訳すると
駐車がしんどかった全幅を◯cm以下に。最小回転半径の小さい車を(第1講)
高速で疲れた高速の比率を出し直し、7項目のどれが足りなかったかを特定する(第7講)
荷物が積めなかったいちばん多い積み方を具体的に書き出す(第7講)
維持費が思ったより高かったどの項目が想定を超えたかを見る。次は年間コスト表で先に計算(第8講・第17講)
燃料代がかかった距離と比率から、動かし方を選び直す(第2講)
店との相性が悪かった次は10項目で見分ける(第13講)

この翻訳ができると、2台目は1台目より確実に良くなります。 失敗も含めて、経験は全部使えます。むしろ、うまくいかなかった部分のほうが、次への材料としては優秀です。

04目利きの確認・・・言えるかどうか

最後に、確認です。次の問いに、自分の言葉で答えられるでしょうか。 答えられなければ、その講に戻ってください。それがこのカリキュラムの使い方です。

問い戻る講
ミニバンとSUVは、それぞれ何のために生まれた形か第1講
ハイブリッドが効くのはどんな使い方か第2講
同じ中身の車が別の名前で売られているのはなぜか第3講
「外車は維持費が高い」を、より正確に言い直すと第4講
1998年に軽自動車に何が起きたか第5講
メーカーオプションとディーラーオプションのちがいは第6講
高速の快適さを決めるものを3つ挙げると第7講
維持費の9項目を挙げられるか第8講
登録済未使用車とは何か第9講
修復歴とは、どこを直したことを指すか第10講
見積書の3つの塊のうち、どこで比べるべきか第14講
残価設定クレジットは、何を前提にした仕組みか第15講
納車のときに絶対に抜かしてはいけない手続きは第16講
対人・対物賠償を無制限にする理由は第18講
「車検を通した」は何を意味するか第19講
査定で、手放す直前に変えられる項目は第22講

全部答えられなくても大丈夫です

覚えることが目的ではありません。必要なときに、どこを見ればいいか分かること。それで十分です。 図解㉝のマップを手元に置いておけば、そのときどきで必要な1枚にたどり着けます。

05人に相談されたら

ここまで読んだ人は、そのうち相談される側になります。 友人が初めての車を買うとき、家族が買い替えを考えるとき。そのときに渡してほしい言葉があります。

相談されたときに、言わないほうがいいこと

  • 「◯◯がいいよ」といきなり車種を勧める
  • 「あそこの店はやめたほうがいい」と会社名で決めつける
  • 「絶対に現金で買うべき」と払い方を断定する

代わりに聞いてあげるとよいこと

  • 「何に使うの? 何人乗せて、どこへ行く?」(第7講)
  • 「駐車場の大きさ、測った?」(第1講)
  • 「維持費まで入れて、1年でいくらまで出せる?」(第8講)
  • 「自宅で充電できる?」(第2講)

答えを与えるのではなく、問いを渡す。 そのほうが、その人は自分で決められるようになります。 このカリキュラムがやろうとしてきたことも、同じです。

今日、ひとつだけ

いま、あなたが「次に買うなら、この条件」と言える条件を3つ、書き出してみてください。 車種名ではなく、条件です。全幅、乗る人数、高速の比率、充電環境、年間で出せる金額。 条件を持っている人は、店頭でも、ネットの書き込みの前でも、迷いません。 それが、このカリキュラムが渡したかった「目利き」です。

出典と注記