ある車が気になって調べると、価格が「180万円〜290万円」のように幅で書かれています。 同じ車種なのに、100万円以上ちがう。この差は何なのか。 答えは、グレードとオプションと駆動方式です。 ここを知らないまま店に行くと、営業の方の説明が全部同じに聞こえます。 この講は、その霧を晴らす回です。
同じ車種の中で価格が変わる要素は、大きく6つです。
| 要素 | 何が変わるか | 価格差の目安 |
|---|---|---|
| グレード | 装備と性能のランク。内装の素材、シートの造り、安全装備の内容など | 数十万円〜100万円以上 |
| 動かし方 | ガソリンかハイブリッドか、など(第2講) | 数十万円 |
| 駆動方式 | 2WDか4WDか | 十数万円〜20万円台 |
| メーカーオプション | 工場で組み込む装備。あとから付けられない | 数万円〜数十万円 |
| ディーラーオプション | 販売店で取り付ける装備。あとからでも付けられる | 数万円〜数十万円 |
| ボディカラー | 特別な色は追加料金がかかることがある | 数万円 |
これが積み上がって、100万円以上の幅になります。 大事なのは、この6つのうち、どれが自分にとって必要なのかを自分で判断できるようになることです。
グレードは、装備と性能のランクです。同じ車種の中に、たいてい3つから5つくらい用意されています。 名前は車種ごとにちがいますが、考え方は同じです。
| 位置 | 中身の傾向 | こんな人に |
|---|---|---|
| いちばん下 | 基本の装備のみ。鉄のホイールにカバー、内装は簡素。安全装備は付く場合が多い | とにかく安く。仕事用。装備は自分で足す人 |
| 中位 | いちばん売れる帯。必要な装備がひととおり入っている | 迷ったらここ。中古でも数が多く探しやすい |
| 上位 | 内装の素材が良くなり、快適装備や運転支援が増える | 長く乗る。長距離が多い。快適さを重視する |
| 特別仕様 | 特定の装備をまとめて、割安に設定したもの | その装備が欲しい人には、いちばん得なことがある |
安全装備は、いまはほとんどのグレードに標準で付きます。 グレードで大きく変わるのは、快適さと見た目のほうです。 「安全のために上のグレードを」と勧められたら、下のグレードに何が付いていないのかを具体的に聞いてください。 その答えが具体的でないなら、下でも十分な可能性が高いです。
この章だけは、絶対に覚えて帰ってください。オプションには2種類あり、性質がまったくちがいます。
| メーカーオプション | ディーラーオプション | |
|---|---|---|
| どこで付けるか | 工場で組み込む | 販売店で取り付ける |
| あとから付けられるか | 付けられない | 付けられる |
| 注文のタイミング | 注文するときに決める必要がある | 納車後でも可能 |
| 例 | サンルーフ、本革シート、一部の運転支援装備、大型の画面など | フロアマット、ドライブレコーダー、後付けのナビ、コーティングなど |
| 値引き | 動かしにくい | 比較的動かしやすい |
見積書の読み方そのものは、第14講「見積書が読めれば怖くない」で扱います。 ここでは「オプションには2種類ある」ということだけ、確実に持ち帰ってください。
白と黒は追加料金なしのことが多く、パール系や特別な色には数万円の追加がかかることがあります。 そして色は、数年後に手放すときの値段にも効きます。 日本では白と黒が売れやすく、下取りでも有利になりやすい。 好きな色を選ぶのが第一ですが、その選択に数万円から十数万円の差が付くことは知っておいてください。
4WD(四輪駆動)は、雪道や滑りやすい路面で有利です。ただし価格が上がり、車重も増え、燃費は少し落ちます。 雪が降らない地域で街乗り中心なら、多くの場合2WDで十分です。 逆に雪国では、4WDのほうが中古でも売りやすくなります。 住んでいる場所で答えが変わる典型的な項目です。
これは車種にもよりますが、判断のものさしを3つ渡しておきます。
ひとつ、覚えておくと役に立つ考え方があります。 上位グレードとの差額を、乗る年数で割ってみることです。 差額40万円を10年で割れば、年4万円。それだけの価値を毎日感じられるかどうか。 こう考えると、判断がずいぶん楽になります。
車は、買うときの値段だけでなく、手放すときの値段まで含めて考えると全体像が見えます。 差額40万円のグレードでも、手放すときに20万円多く戻ってくるなら、実質の差は20万円です。
これは投資の話ではなく、単純な引き算です。ただ、この視点を持っている人は多くありません。 どんな選び方が数年後に効くのかを、1枚の図解にまとめました。
数年後の値段を気にするあまり、好きでもない色や、自分に合わない装備を選ぶのは本末転倒です。 その車に乗るのは、これからの数年間のあなたです。 優先順位は、1に使い方、2に好み、3に数年後の値段。この順番を守ってください。
気になっている車のグレード表を、メーカーのサイトで開いてみてください。 いちばん安いグレードと、いちばん高いグレードの差額はいくらか。 そして、何がちがうのか。この2つを見るだけで、店頭での会話がまったく変わります。