第4部の最後です。車には、時間とともに必ず減っていく部品があります。 いつ、何を、いくらで替えるのかを知っておけば、突然の出費に慌てずにすみます。 そして、この講で「選ぶ車によって維持費がどう変わるか」の話が完結します。 タイヤ1つとっても、車によって数万円ちがうからです。
消耗品の交換時期には、2つの基準があります。 走った距離と、経過した年数です。そして早く来たほうが交換の時期になります。
たとえばタイヤは、溝が減れば交換ですが、あまり走っていなくてもゴムは硬くなります。 バッテリーも同じです。「うちはあまり乗らないから大丈夫」は、必ずしも正しくありません。 乗らない車には、乗らない車なりの傷み方があります。
| 部品 | 交換の目安 | 費用の目安 | 放置するとどうなるか |
|---|---|---|---|
| エンジンオイル | 5,000〜10,000km または半年〜1年 | 3,000〜8,000円 | エンジンの傷みが早まる。最悪の場合、大きな修理に |
| オイルフィルター | オイル交換2回に1回 | 1,000〜3,000円 | オイルの汚れが取れなくなる |
| タイヤ | 溝が減ったとき または3〜5年 | 4本で3〜15万円 | 雨の日に止まらない。いちばん危険 |
| バッテリー | 2〜5年 | 1〜4万円 | ある日エンジンがかからなくなる |
| ブレーキパッド | 3〜5万km | 1〜3万円(前後で別) | 止まらなくなる。金属音がしたら手遅れに近い |
| ブレーキフルード | 2年ごと(車検時) | 3,000〜6,000円 | ブレーキの効きが不安定になる |
| ワイパーゴム | 半年〜1年 | 1,000〜3,000円 | 雨の日に前が見えない |
| エアコンフィルター | 1年 | 2,000〜5,000円 | においが出る。風が弱くなる |
| 冷却水 | 2〜4年 | 3,000〜8,000円 | オーバーヒートの原因に |
| 発炎筒など | 有効期限あり | 1,000円前後 | 車検で指摘される |
要確認金額と時期は執筆時点の一般的な目安です。 車種・部品の種類・依頼する店によって変わります。取扱説明書に、その車の指定が書かれています。
第17講の図解㉗で挙げた「維持費が変わる10の要因」が、ここで具体的な金額になります。
| 車の条件 | 何が変わるか |
|---|---|
| タイヤが大きい・ 扁平率が低い | 4本の交換で数万円のちがい。軽自動車なら3〜5万円、大径タイヤの車では10万円を超えることも |
| 四輪駆動 | タイヤは4本まとめて替える必要があります。1本だけの交換は避けたほうがよい |
| ハイブリッド・ 電気自動車 | 減速のときにモーターで発電するため、ブレーキパッドが減りにくい傾向があります。ただし駆動用電池は別の考え方が必要 |
| ターボ付き | エンジンオイルの管理がより重要になります。交換の間隔を守る |
| アイドリング ストップ付き | バッテリーが専用のものになり、価格が上がります |
| 輸入車 | 部品代が上がりやすい。ブレーキ関係の消耗が早い車もあります |
| 古い車 | ゴムやホース類が同時期に傷みます。まとめて交換が必要になることも |
「この車のタイヤ、4本替えるといくらですか」。 これを販売店で聞いておくと、数年後の出費が予想できます。 同じ大きさの車でも、グレードによってタイヤの大きさがちがうことがあります。 上位グレードを選ぶときは、この点も含めて考えてください。
| 季節 | 見るところ |
|---|---|
| 春 | エアコンフィルター(花粉の季節のあと)/ワイパー/冬用タイヤから戻す |
| 夏 | 冷却水の量/エアコンの効き/バッテリー(暑さは負担になります)/タイヤの空気圧 |
| 秋 | ワイパーゴム(雨と台風の前に)/ライト類の点灯確認(日が短くなります) |
| 冬 | バッテリー(寒さで弱ります)/冬用タイヤの準備/ウォッシャー液を寒冷地用に |
バッテリーは、夏の暑さで弱り、冬の寒さで動かなくなる、という壊れ方をよくします。 冬の朝、エンジンがかからないという経験談の多くは、これです。 3年目を過ぎたら、冬の前に点検してもらうと安心です。
タイヤの空気圧だけは、月に一度は見てほしいです。 無料でできて、燃費にも安全にも効きます。空気圧が減ったまま走ると、タイヤの寿命も縮みます。 費用ゼロでできる、いちばん効果の高い手入れです。
第10講で「記録簿がある車は、たいてい大事にされている」と書きました。 今度は、あなたが記録を作る側になります。
これは手放すときに効きます。記録が残っている車は、査定でも中古市場でも評価されます。 費用はゼロで、数年後にお金になる。こんなに割のいい手入れは、ほかにありません。
車のタイヤを見に行ってください。溝がどのくらい残っているか。 溝の中に、スリップサインという高くなった部分があります。 これが表面と同じ高さになったら、交換の時期です。 1分で見られて、命に関わる確認です。持っていない人は、家族の車で見せてもらってください。