飛行機を作っていた技術者たちが始めた会社です。だから、まっすぐ安定して走ること、雪でも滑らないこと、ぶつからないことに、ほかの何よりお金をかけてきました。燃費でも価格でもない場所に価値を置いた会社です。
スバルを一言でいうと、"曲げないこと"を選んだ会社です。
水平対向エンジンという、世界でも数社しか作っていない特殊なエンジンを60年近く使い続けています。四輪駆動もほぼ全車。燃費や価格で有利になる道があったのに、そちらへは行きませんでした。
そのぶん、雪道や高速道路での安定感は代えがききません。スバルからスバルへ乗り換える人が多いのは、そのためです。
スバルは日常では気づかない場面のために作られています。雨の高速で横風を受けたとき、凍った坂を上るとき、前の車が急に止まったとき。ふだんは地味に感じるかもしれません。その地味さにお金を払う会社です。
源流は1917年に生まれた飛行機の研究所、のちの中島飛行機です。戦後、航空機の生産が禁じられ、会社は分割されました。
1953年、その流れをくむ5つの会社が集まって富士重工業ができます。スバルという名前は、六つの星が集まって見える星の和名からきています。5社が集まって新しい会社になったことと重ねられました。
1958年のスバル360は、大人4人が乗れる軽自動車として国民車と呼ばれ、その形からてんとう虫の愛称で親しまれました。
1966年のスバル1000で、水平対向エンジンと前輪駆動の組み合わせを採用します。シリンダーが左右に寝ているので重心が低く、車の姿勢が安定する。ここでスバルの背骨が決まりました。
1972年、レオーネで乗用車の四輪駆動を量産します。きっかけは雪国の要望でした。特別な人のための装備だった四駆が、ここから普通の乗用車のものになっていきます。
1989年のレガシィ、1992年のインプレッサ。1990年代半ばには世界ラリー選手権でメーカー部門3連覇を果たし、雪や砂利道での強さが世界に知られました。
2008年から広めたアイサイトは、2つのカメラで前を見て自動で止まる仕組みです。これが「安全のスバル」という評価を決定づけました。
2005年からトヨタが筆頭株主となり、2017年には社名をSUBARUに変更しています。いまの最大の市場は北米です。2022年にはトヨタと共同開発した電気自動車を出しました。
| 背骨 | 中身 | 買う人にとっての意味 |
|---|---|---|
| 水平対向エンジン | シリンダーが左右に寝ている構造。重心が低くなる | カーブや横風での安定。世界でも作っている会社は数社しかない |
| シンメトリカルAWD | エンジンから左右対称に駆動を伝える四輪駆動 | 雪道や雨の高速での安心感 |
| アイサイト | 2つのカメラで前を見る運転支援 | 追突の被害を減らす。高速の疲れが減る |
| 車体の強さ | 航空機由来の考え方で骨格を作る | 衝突時の評価が高い |
| 共通の車台 | 全車で同じ土台を使う | 上位車種の技術が下位の車にも入ってくる |
トヨタの背骨が工場と流通、ホンダがエンジンと発想だとすれば、スバルの背骨は安定と安全です。燃費でも価格でもありません。だから燃費表を並べて比べると不利に見えます。比べる物差しを間違えると、この会社の良さは見えません。
スバルは車種の数が多くありません。そのぶん一つひとつが長く続きます。軽自動車と軽トラックは2012年ごろに自社での生産をやめ、他社から供給を受ける形になりました。
| 系統 | 流れ | いま買うなら |
|---|---|---|
| 軽自動車 | スバル360(1958) → R-2 → レックス → ヴィヴィオ → プレオ / 以降は他社からの供給 | ステラなど |
| 小型・乗用 | スバル1000(1966) → レオーネ(1971) → インプレッサ(1992) | インプレッサ |
| 上級・ワゴン | レガシィ(1989) → アウトバック → レヴォーグ(2014) | レヴォーグ/アウトバック |
| SUV | フォレスター(1997) → XV → クロストレック | フォレスター/クロストレック |
| スポーツ | アルシオーネ(1985) → SVX → WRX / BRZ(2012・トヨタと共同) | WRX/BRZ |
| 商用・軽トラ | サンバー(1961) / 以降は他社からの供給 | サンバー |
| 電動化 | e-BOXER(2018) → ソルテラ(2022・トヨタと共同) | ソルテラ |
"よく見かける言われ方"を集めた項目です。書き込みは、満足した人より不満を持った人のほうが書く傾向があります。数字と並べて読んでください。観測は2026年8月時点です。
スバルの評判は、住んでいる場所と走る道で決まります。雪の降らない街で街乗りだけなら「燃費が悪くて高い車」になりますし、雪国や高速中心なら「これしかない」になります。書き込みを読むときは、その人がどこに住んでいるかを想像してください。
| 項目 | スバルの傾向 |
|---|---|
| 部品の入手 | 現行に近い車種は問題なし。台数の少ない車種は確認を |
| 修理・整備 | 水平対向エンジンは構造が特殊で、扱い慣れた工場のほうが安心 |
| 燃料代 | 四駆と水平対向のぶん、同じ大きさの他社車より燃費は不利 |
| タイヤ | 四駆は4本の状態をそろえる必要がある。1本だけの交換は避ける |
| リセールバリュー | 中位から上位。雪国では中古の需要が安定している |
四駆は雪道で強いぶん、タイヤ4本の管理や燃料代が上乗せになります。第17講「維持費の全体像」で、二輪駆動との差を金額にして比べます。
次に雨の日に車に乗ったら、カーブでの姿勢に注意してみてください。何に気をつけて設計された車なのかは、天気の悪い日にいちばんよく分かります。