日本でもっとも古い部類の自動車メーカーで、いまは軽自動車の専門店です。トヨタの完全子会社として、他社に軽自動車を供給する立場でもあります。街で見かける軽の多くは、実はこの会社が作っています。
ダイハツを一言でいうと、"軽自動車をいちばん長く作り込んできた"会社です。
大阪で発動機(エンジン)を作る会社として始まり、オート三輪、そして軽自動車へ。決められた大きさの中で、毎日の使いやすさを積み上げてきました。低い床、大きく開くドア、荷物の積みやすさ。地味ですが、毎日の暮らしで効いてくる部分です。
いまはトヨタの完全子会社で、トヨタやスバルにも軽自動車を供給しています。名前がちがっても中身は同じ、という車が生まれる背景がここにあります。
ダイハツは軽自動車しか作らないと決めた会社です。だから作り込みが細かい。一方で、2023年に認証手続きの不正が公表され、生産が止まりました。長所と課題の両方を知ったうえで見てください。
1907年、大阪で発動機製造株式会社として創立しました。ダイハツという名前は「大阪の発動機」からきています。
1930年に三輪車を作り、荷物を運ぶ手段として広まりました。日本の自動車産業の中でも、かなり早い時期から動いていた会社です。
1957年のミゼットは、小さなオート三輪として大ヒットしました。商店の配達に使われ、戦後の街の風景をつくった車です。
1960年にはハイゼット、1966年にはフェローで軽乗用車に入ります。ここから軽自動車の会社としての道が始まりました。
1967年にトヨタと業務提携を結びます。1998年には子会社に、2016年には完全子会社になりました。
ダイハツが作った軽自動車が、トヨタやスバルの名前で売られる形が定着します。第3講で扱った兄弟車の話は、この関係から生まれています。
2003年のタント、2011年のミライース。低い床や大きく開くドアなど、乗り降りのしやすさを追い続けました。子育て中の家庭や、高齢の家族を乗せる人に選ばれています。
2023年、認証試験の手続きに不正があったことが公表され、2024年には国内の生産が一時止まりました。その後、順次再開されています。
| 背骨 | 中身 | 買う人にとっての意味 |
|---|---|---|
| 小さなエンジン | 発動機の会社として始まり、小排気量を突き詰めてきた | 軽の税金と燃料代の安さを支えている |
| 乗り降りのしやすさ | 低い床、大きく開くドア、広い開口部 | 子どもや高齢の家族がいる家庭で効く |
| 軽の作り込み | 決められた大きさの中で室内と荷室を最大にする | 同じ軽でも積める量がちがう |
| イース技術 | 車体を軽くして燃費を稼ぐ考え方(2011年から) | 燃料代が下がる |
| 他社への供給 | 他社のブランドで売られる車を作っている | 同じ中身の車が別の名前で、ちがう値段で売られている |
ダイハツの工夫は停まっているときに効くものが多いです。乗り降り、荷物の積み下ろし、チャイルドシートの付け外し。走りの数字には出ませんが、毎日くり返す動作だからこそ差が出ます。
ダイハツの車は、他社の名前でも売られています。同じ中身で価格がちがうことがあるので、探すときは兄弟車も一緒に見てください。
| 系統 | 流れ | いま買うなら |
|---|---|---|
| 軽乗用 | フェロー(1966) → ミラ(1980) → ムーヴ(1995) → タント(2003) → ミライース(2011) | タント/ムーヴ/ミライース |
| 軽商用 | ミゼット(1957) → ハイゼット(1960) → 現行 | ハイゼット |
| 小型乗用 | コンパーノ(1963) → シャレード(1977) → ブーン(2004) | ブーン |
| SUV | ラガー(1984) → テリオス(1997) → ロッキー(2019) → タフト(2020) | ロッキー/タフト |
| 他社への供給 | トヨタと提携(1967) → トヨタ・スバルへ軽を供給 | ピクシス/ステラなど |
| 海外 | マレーシアの現地メーカーと提携(1990年代〜) | ー |
| 技術 | イース技術(2011) → 予防安全装備 → 新しい車台(2019) | ー |
"よく見かける言われ方"を集めた項目です。書き込みは、満足した人より不満を持った人のほうが書く傾向があります。数字と並べて読んでください。観測は2026年8月時点です。
2023年の公表以降、書き込みには不安の声が増えました。ただ、問題になったのは認証の手続きであり、すべての車が危険という意味ではありません。気になる場合は、対象になった車種と、その後どんな対応が行われたかを販売店に直接確認するのが確実です。人の書き込みではなく、一次の情報で判断してください。
| 項目 | ダイハツの傾向 |
|---|---|
| 部品の入手 | 台数が多く、部品も工賃も安定している |
| 修理・整備 | 販売店に加え、町の整備工場でも扱いやすい |
| 燃料代・税金 | 軽自動車なので維持費全体が軽い |
| リセールバリュー | タントとハイゼットは強い。それ以外は中位 |
| 兄弟車 | 同じ中身が他社の名前で売られている。中古では価格差を比べる価値がある |
兄弟車の探し方は第10講「中古車の目利き入門」で扱います。同じ車で十数万円ちがうことがあるので、知っておいて損はありません。
街で軽自動車を見かけたら、後ろのエンブレムを見てみてください。トヨタやスバルの名前でも、実はダイハツが作った車であることがあります。名前と中身がちがう・・・その現実を知るところから、目利きは始まります。